10月28日に公開される映画『天間荘の三姉妹』で、キーパーソンとなる老婦人を魅力たっぷりに演じている三田佳子さん。
実は今までに何度も、健康面のピンチを迎え、乗り越えて来た。
実体験から得た教訓は? そしてこれからの日々、どうやって健康を維持していくのか。
ざっくばらんに語っていただいた言葉には、私たちへのヒントがいっぱい!
(三田さんの人生と転機、ブログの楽しさを語ったインタビュー前編はコチラ)
撮影/富田一也 ヘア&メイク/森田光子 スタイリスト/村井 緑 取材・文/岡本麻佑
三田佳子さん
Profile
みた・よしこ●1941年10月8日生まれ。中学・高校時代から多数のテレビ・ラジオに出演。東京女子美術大学付属高校卒業と同時に東映に入社。’60年に『殺られてたまるか』のヒロイン役で映画デビュー。日本映画全盛期を代表するスター女優のひとりとして60本以上の映画に出演。1967年に独立し、舞台、テレビにも活躍の場を広げた。NHK大河ドラマには2度主演。近年の主な出演作にドラマ『凪のお暇』『すぐ死ぬんだから』『プロミス・シンデレラ』、映画『約束のネバーランド』など。オフィシャルブログ「佳子のガラパゴス遊歩」
偶然の検診でがんが発覚。
婦人科検診は大事です!
もうすぐ81歳。人生の中で、いろいろな経験を積んできた三田佳子さん。中でも一番のピンチは、54歳のときに子宮体がんが見つかったこと。それは、たまたま受けることになった婦人科検診で発覚した。
「友人と3人で食事をしたとき、その中のひとりが婦人科の先生だったんです。『三田さん、婦人科検診受けていますか?』って聞くから、『子どもを二人産んでいますから産科にはご縁がありましたけど、婦人科は別にどこも悪くないから受けていません』とお答えしたら、『50代にもなって婦人科検診を受けたことがないなんて、ダメです!』って。
ちょうどその頃、ちょっと痩せたからって人にすすめられて胃腸科の予約を取っていたんです。でも不思議なことに、4日続けて『胃腸科には行くな』って、夢だか想念だかわからないけど、その言葉がのしかかってきて。これは変だと思って胃腸科は断り、時間もできたので、あんなに熱心に言ってくれたし、一度婦人科を受けてみようかと思って行きました。
『これを逃したら三田さんは二度と来ないだろうから』って徹底的に診てくれて、そうしたら子宮体がんが見つかった。先生もびっくりしちゃって。進行性で、『このタイミングで見つけていなかったら危なかった』と後から言われました」
すぐに強力な抗がん剤を処方され、髪は驚くほど抜けたけれど、それが効いて劇的に回復に向かったという。
「そこから20何年、仕事もプライベートも激しいことがいっぱいありましたけど、そうやって今、生きているんです。ですから婦人科検診は本当に大切。みなさんも、ちゃんと診てもらってくださいね!」
そして5年前、2017年10月には、頸椎硬膜外膿瘍(けいついこうまくがいのうよう)という病気で首の手術をしている。四肢に麻痺が残る可能性もあったのだとか。
「首に3㎝くらいの膿瘍ができて、もうね、ハンマーで殴られているくらいに痛いのよ。高齢化社会になって、とても増えている症例だそうです。私の経験が誰かのお役にたてればと思って、後から公表したんですけどね。そのときの痛みは、今はもう忘れました(笑)」
最近は健康に問題はなく、日々絶好調。そこで三田さん、考えた。
「健康のために、何か始めるべきかしらって。70歳くらいのときに、体幹を鍛えてしっかりしないとフラフラしちゃうと思って、体操を習ったりしていたのに、このところコロナ禍や映画のロケが続いたりで、身を守るのに精一杯。自分を鍛えることを忘れていたのね。
でもこの前、若い女優さん・・というほど若くもないけど私よりは若い女優さんが(笑)、体のためにこういうことをしていますっていう記事を読んだの。そうしたら急に“そうよ、私は何をしているんだろう! 若い人が頑張って鍛えているのに、80を超えて何もしないでいたら、いつの間にか立てなくなっちゃうわ”と思って。以前教わっていた先生に電話して、『お元気ですか? 今から行きたいんですけど』って相談しました。
で、私の今の状態を見ていただいたら、『三田さん、まだ大丈夫です。今からやれば間に合います』って。体操とヨガを混ぜたような感じなのかな? まだ1回しか行ってないんですけど、これから頑張って続けるつもりです」
もちろん日常生活でも、気を配って生活している。
「食事はよく食べます。毎日必ず、納豆にお豆腐、野菜、肉、魚、まんべんなくね。それに我が家は段差が多くて、居間から寝室、ベランダと、3段ぐらいの階段を上り下りすることが多いんです。しかも物忘れが多くて、“あら、何をしにここに来たのかしら?”って、家の中を行ったり来たりしているから、足腰は使っていると思うの(笑)」
台詞に関しては、すべて手で書き写して、頭に入れる。
「相手の台詞も書きます。書きながら、ああ、こういうことなのねって、脚本への理解も深まっていると思います。今回の『天間荘の三姉妹』でも、こう、台本にぎっしり書き込みをして、台詞を抜き書きした紙を持っていたら監督が、『三田さん、それは貴重ですね。僕にください』ですって。撮影が終わったら捨てるつもりでいたから、恥ずかしくて。結局、持って行かれちゃいましたけど(笑)」
なんだかすごーく、繊細かつ豪快。俳優であるという矜持とともに、ひとりの女性として、人生をフルに楽しみながら生きている。何があっても大丈夫と、三田さんと話していると、そう思えてくる。
「私自身、そう思っています。何があっても死ぬ時は死ぬし。もう私、あまり欲はないんです。でも自分がやっていることに対するプライドは、ありますね。自分が生きていることは、そんなに間違っていない。これでいいんだという気持ちがないと、支えがなくなって揺らいでしまうから。そこは大事だと思います」
『天間荘の三姉妹』
天界と地上の間にある老舗旅館「天間荘」を舞台に描かれるヒューマン・ファンタジー。交通事故で臨死状態に陥った小川たまえ(のん)は、謎の女性イズコ(柴咲コウ)に連れられて「天間荘」を訪れ、若女将・天間のぞみ(大島優子)とその妹かなえ(門脇麦)、大女将・恵子(寺島しのぶ)に迎えられる。現世では天涯孤独の身の上だったたまえだが、実はのぞみとかなえの腹違いの妹。イズコはたまえに、天間荘でしばらく過ごした後、現世に戻るか天界へ旅立つか、決めればいいと言うのだが・・・・。
2022年10月28日(金)より全国公開
配給:東映
原作:髙橋ツトム「天間荘の三姉妹-スカイハイ-」(集英社 ヤングジャンプ コミックス DIGITAL刊)
脚本:嶋田うれ葉
監督:北村龍平
出演:のん 門脇麦/大島優子 三田佳子(特別出演)ほか
主題歌:「Beautiful World」玉置浩二 feat.絢香
©2022髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会
公式サイト:https://www.tenmasou.com/