舞台やドラマ、映画に次々と出演し、アメリカのドラマにもオーディションを経て役をゲットするなど、活躍を続けている南果歩さん。
その一方で幼稚園や保育園、小学校、病院の小児病棟で絵本の読み聞かせを続け、このたびは自分で書いた絵本『一生ぶんの だっこ』を出版することに。
7年前には大病を経験したはずなのに、前向きなマインド、エネルギッシュな生き方は、ずーっとそのまま続きそうだ。
(南さんが絵本に込めた思いを語った、インタビュー前編はコチラ)
撮影/富田一也 ヘア&メイク/国府田 圭 スタイリスト/坂本久仁子 取材・文/岡本麻佑
南果歩さん
Profile
みなみ・かほ●1964年1月20日、兵庫県生まれ。桐朋学園大学短期大学演劇科在学中に映画『伽耶子のために』ヒロインオーディションを勝ち抜いて主演。『夢見通りの人々』で第32回ブルーリボン賞助演女優賞、『お父さんのバックドロップ』で第19回高崎映画祭最優秀助演女優賞を受賞。2022年全世界配信のドラマ『PACHINKO パチンコ』(Apple TV+)をはじめ、映画『MISS OSAKA ミス・オオサカ』『義足のボクサー GENSAN PUNCH』や舞台『夏の夜の夢』『パンドラの鐘』など幅広く活躍中。2022年12月16日~19日には福島県南相馬市のRain Theatreにて、舞台『家を壊す』に出演。近著に『乙女オバさん』(小学館)がある。公式HP http://www.kaho-minami.com/
夜中にラーメン、食べちゃいます
「やっぱりね、まず体だと思うんです。体が元気だったら、なんとかなるんです。心がいくら元気でも、体が弱っていると追いつかない。というか、心が弱っているときこそ体を鍛えないと、ね。
私も、トレーニングなんて行きたくない、サボりたいって思いながらイヤイヤ行くこともありますけど、1時間トレーニングが終わると、『よっしゃー!』って(笑)。気持ちが体に、自然についてくるんです」
もともとエネルギッシュな南果歩さん。それまでは元気のカタマリみたいな人だったけれど、2016年に人間ドックで乳がん(ステージⅠ)が見つかり、手術を受けた。それ以来、自分の体に対して、そして健康に対する意識も少し変わったとか。
「そうですね、病気のあとは、もう何もできない状態でした。ですからあの頃は鍼灸とかマッサージを受けながら、少しずつ元の体に戻した感じです。
そして病気をしたからこそ、なおのこと健康が一番大事だと思うようになりました。検診は絶対に欠かしませんし、健康のためだったらなんでもやります(笑)。体に対する意識も変わったので、筋トレを始めました」
それまでは、南さんの元気の素はパワー・ヨガ。
アメリカで暮らしているときに何も知らないまま飛びこんだクラスで教わった、癒しとか精神性よりも体の限界に挑戦するような、上級者向けのエクササイズだった。
「かなりの運動量ですけど、私、滝汗って感じが好きなんです(笑)」
新たに始めた筋トレというのは?
「足、お尻、腕なんかを主にやってます。ヨガとはまた違うんですよ。気がついたら腕とか足の筋肉がかなり落ちていたので。
ちょっと前に舞台のお仕事をしていたんですけど、そこでは階段を駆け上がって、ダッシュで移動して、というようなことを毎日していました。公演中は毎日元気にやっていたんですけど、千秋楽を迎えたら、翌日からまるまる2日、寝込みました(笑)。疲れがどっと出たんですね。
やっぱり体力というか回復力が落ちているなって、痛感しました。ですから筋トレ、大事です」
筋トレは基本、週に2~3回のペース。
「でも舞台の仕事とか入ってしまうと1カ月行けなかったり。でもまたすぐに行くんです!」
やるべきことを、ちゃんとやる。南さんのそんな姿勢を見ていると、何もやっていないこちらとしては深く反省するばかり。でも、そう言うと・・。
「大丈夫! 何もやっていない人が筋トレを始めると、すごいですよ! 伸びしろがあるから、グイーンと伸びます。絶対おすすめです!」
明るく前向きなこの言葉。南さんと話していると、それだけでこちらも元気になる。
そんな南さん自身の元気の素が、もうひとつ。愛犬のシャンティーとジョイだ。
「今は基本ひとり暮らしなので、孤独を友に生きてます。いつもシャンティーとしゃべってますね。
それに、今はだんだんと人に会えるようになったので、親しい友人の家に行ったり、ウチに来てもらったり。おしゃべりして笑うことが、免疫力アップには一番大事かなって思うんです」
食生活も、気をつけてはいるけれど。
「家で食べるものは、グルテンフリーにしたり、オーガニックにしたり。加工食品はなるべく食べませんし、主食のお米も玄米にしたり七分づき、五分づき、白米、いろいろ楽しんでいます。
でもね、厳しくないの。良い加減です。外食のときは何でもモリモリいただきますし。食べたいときに食べたい物を我慢するのは、良くないと思うんです。ストレスためるくらいなら、食べちゃう。
夜中にラーメンを食べてしまうこともありますし、すごい甘党なので、お菓子でもケーキでも。チョコレートも大好きですしね」
50代も後半、これからの人生もアグレッシブに生きて行くつもり、ではあるけれど、これからの課題がひとつ。
「なんでも詰め込みすぎるんです、私。なので、一日一減、ひとつだけ用事を減らそうと思っています。
朝からトレーニングに行って、誰かと会って、これを見てあれを見て、夜は会食、みたいなギッチギチの毎日なので、それじゃ疲れるのも当たり前ですよね。
だから日によっては朝のトレーニングをやめたり、夜のお出かけをやめたり、1個減らすくらいでちょうどいいのかなって(笑)」
体も心も元気をキープ。これからもきっと南さんは、あれこれいろんなチャレンジをして、私たちを驚かせてくれるはず。
「自分の体と相談して、自分の体力と仲良くしながら、ね。やりたい順にやります(笑)」
『一生ぶんの だっこ』
文:南果歩 絵:ダンクウェル(2022年12月8日発売/講談社 1650円)
東北や熊本など被災地に向けて絵本の読み聞かせを続けていた南果歩さんが、コロナ禍でのリモート朗読の際に自作の詩を使用。ぜひ絵本にしてほしいという声があがり、本書が誕生した。絵は世界で活躍するアーティストのダンクウェル。本作が初めて手がけた絵本になった。