9月6日にクレイジーケンバンド通算23枚目のアルバム『世界』を発表する横山剣さん。
10月7日からは全国19ヵ所のツアーが始まる。
精力的に創作活動を続けてきた、そのバイタリティの秘訣は何?
ヤンチャなイメージとは裏腹に、日常生活はかなりストイック。
そしてちょっぴり、かわいらしくもあり・・。
(アルバム『世界』や、頭の中で鳴っている音楽についてのインタビュー前編はコチラ)
撮影/富田一也 取材・文/岡本麻佑
横山剣さん
Profile
よこやま・けん●1960年生まれ、神奈川県横浜市出身。小学生の頃から作曲家を目指し、中学時代からバンド活動に熱中していた。1981年クールスRCのボーカリストになるが’84年に脱退。作曲活動を続けながら貿易会社などで働き、バンドを組んでライブ活動を続けた。’97年クレイジーケンバンド(略称CKB)を結成。’98年にアルバム『PUNCH! PUNCH! PUNCHI!』でデビュー。サウンドクリエイターとして数多くの楽曲を生み出し、全国的に人気を集めている。
夜遊びは妄想の中だけです
インタビューの数日前に、ハワイ休暇から戻ったばかり。海でSUP(サップ/スタンドアップパドルボード)をしていたら、こんがり日焼けしたそうで。
「SUPは、たまたま知り合いが葉山で海の家をやっていて、2011年頃かな? そこで初めてやってみたんです。まぐれで初回からボードに乗れたんで、気持ちいいなと思ってハマりました。何度も落ちますけどね」
体のために、あれこれスポーツしているのかと思いきや。
「早寝早起き、くらいですね(笑)。お酒も飲めませんし、なんか、ガンガン夜遊びしているように見えるかもしれませんけど、夜遊びは妄想の中だけ。寝不足だと十分なパフォーマンスができないので、節制しなきゃと思うようになりました」
実はとっても真面目な生活を送っているらしい。
「11時とかには、気を失ってます(笑)。寝るつもりじゃないところで、ソファだったり絨毯の上だったりパソコンの前とかで寝ちゃうので、首が痛くなったりね」
早起きは愛犬のため。15歳のチワワ、チャド君をお散歩に連れて行くのが日課だ。
「夏場は道が熱くなって犬がかわいそうだから、6時台には家を出ます。朝と夕方と夜、一日三回。全部自分が連れていけるわけじゃないんですけど、自分が反対を押し切って飼った犬なので、できるだけ」
もともとチワワにそれほど興味があったわけではないという剣さん。ある日のこと、接着剤を買おうと近所のホームセンターに行ったら、売り場の横にあったペットショップに人だかりが。何だ?と思って見てみると。
「犬がプロレスしてたんです。シュナウザーとチワワが決闘していて、チワワが圧勝したんです。
『気に入った! この子を飼うぞ』って、それが最初です。チャドって名前は、僕が敬愛するプレスリーが『ブルーハワイ』という映画に出たときの役名です」
チャド君の気の強さはその後も衰えることなく。
「散歩中にドゥードルとかピットブルとかデカい犬に会うと、すぐに向かって行っちゃうので、相手の飼い主に謝ってばかり。困ったもんです。
もう15歳の老犬なので、散歩していても途中で歩かなくなって、仕方なく抱っこして歩くんですけど、それでも気に入らない犬とすれ違うと、抱っこされたまま『ウウウウウッ』って、好戦的なヤツで(笑)」
チャド君との散歩のおかげで、時間の許す限り、毎日のウォーキングは続いている。
「歩いたり走ったりするのが好きなので、24時間営業みたいなジム、あるじゃないですか。あれにも時々、きまぐれで行ったりします。本格的なジムにも一時期通ったんですけど、もう半年以上行ってないですね」
なにしろ、忙しい。年に1枚アルバムを作り、ツアーをしていると休んでいるヒマはない。
「マグロですね。泳ぐのを止めたら死ぬっていう(笑)。活動しないと、走っていないと、ダメだなって思ってます。ユーミンさんが言っていた、『走りながらチャージする』みたいな感じです。
でもバタバタしているほうが脳が活性化して、曲も詞もアイデアも出てくるような気がします。
ちょっとすき間が空くと旅に出ますけど、それも何か次の曲が生まれるきっかけになるんじゃないかって、刺激を求めて行っている。
今回のアルバムに入っている『観光』って曲も、カンボジアに行ってアンコールワットを見て、その帰りの飛行機の中で浮かんだメロディやサウンドを、戻ってから練り上げて完成させました。
旅から戻ってしばらくしてから、お土産の宅配便が届くみたいに、うわっと曲が鳴り始めることもありますね」
食生活はどんな感じなのか、尋ねてみると。
「好きなのは焼き肉、カレー、ハンバーグ、スパゲティ。スパゲティはナポリタンとかウニのスパゲティとか、一番好きなのはからすみのスパゲティ。自分で作る料理は、ホットドッグだけは、おいしいと思います。あと、焼きうどんかな。
夜遅くのラーメンは食べないとか、夕食が遅くなったらご飯はやめて肉だけにするとか多少はありますけど、そうもいってられないことも多くて」
節制は、あまり意識していないけど、元気なのでOKみたい。
「ちょっとダイエットしなきゃな、とは思ってます、はい(笑)」
今日着ているアロハシャツは、ハワイで購入した自前のもの。
「行きの飛行機の機内誌に広告が載っていて、ひと目惚れして現地で買いました。トリ リチャードってところのシャツです。
いつも僕、スタイリストはつけないんです。自分の服は自分で決める。
帽子は、ステージではハット、ふだんはキャップが多いけど、原宿のCA4LA(カシラ)のものが多いです。特注で作ってもらったり。
ファッションも音楽と同じで、頭の中に絵が浮かぶんです。ヴィンテージだけど今っぽい、今の時代にマッチするヴィンテージはこれかなって、そういうふうに選ぶことが多いですね」
最後に聞いてみた。この先70代、80代になったとき、どんなふうに日々を過ごしたいですか?
「もう、なるべく座っていたいですね(笑)。音楽活動に関しては『止まったら死ぬ』くらいに考えているんですけど、プライベートでは逆に、何もしないのが好きなんです。
バンコクとか南の島の良いホテルに行くと、プールサイドで老夫婦が何を話すでもなく、寝たりゲームしていたりするのを見て、ああ、こういうジイサンバアサンになりたいなって。会話はまったくないのに、アイコンタクトだけで、じゃあそろそろ部屋に戻ろうか、みたいな。
どこかに観光に行くでもなく、ホテルでだらだら過ごすみたいな、そういうのが理想なんですけどね」
でもそれは、まだまだ先のお話。ニューアルバム『世界』をひっさげて、秋から冬は日本全国を駆け巡る。日本中のCKBファンが、横山剣を待っている。
『世界』
デビュー25周年を迎えたCKBの通算23枚目のアルバム。サウンド・プロデューサー&アレンジャーとしてgurasanpark氏を迎え、ライブ感のある仕上がりに。新参加のドラマー、ゲンタ氏のキレのあるドラミングを軸に、総勢11名のメンバーそれぞれが本領を発揮、生き生きとしたサウンドを作り上げている。(2023年9月6日発売 3575円/ユニバーサルシグマ)
10月7日からスタートするライブツアー『CRAZY KEN BAND TOUR World Tour 2023-2024』の詳細はコチラ。
2022年10月23日に行われた『CRAZY KEN BAND TOUR 樹影 2022-2023』の中野サンプラザ公演を収録したDVDがついた初回限定盤は7700円。