50代に入る頃から、ちょっと体に変調を感じていたという安蘭さん。
舞台に立つための体調管理も必要とあって、食事や運動には気を遣っている。
とはいえ、無理して何かするよりも、楽しんでできることを、あれこれと。
してきたこと、してみたいことを、いろいろ教えてくれた。
(宝塚に3度落ちた話や、ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』に向けての体力づくりなどインタビュー前編はコチラ)
撮影/富田一也 取材・文/岡本麻佑
安蘭けいさん
Profile
あらん・けい●1970年10月9日生まれ、滋賀県出身。1989年、宝塚音楽学校に入学。1991年、第77期生として宝塚歌劇団に入団。2006年、星組トップスターに就任。2009年4月退団。退団後はミュージカル、ストレートプレイなど舞台を中心に活躍。2008年『スカーレット・ピンパーネル』で第34回菊田一夫演劇賞演劇大賞、2021年『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』(2020年)で読売演劇大賞優秀女優賞受賞。
更年期真っ最中! でもなんとか乗り切れそう
もともとスレンダーで美しいプロポーション。おみ足も美しい。しかも半年ほど前、ダイエットで余分なお肉を削り落とし、磨きをかけたばかりという。
「ちょっと体型が気になってきたんです。下っ腹のあたりに、いらないお肉がついているような気がして。
引き締めようと思って、腹筋をやっても全然変わらない。成果がでないなら、ほかに何かやってみようと思い、1回やってみたいと思っていたグルテンフリーに挑戦しました」
グルテンフリーダイエットは、小麦などグルテンを含む食品を避けて、体重を減らすダイエット。もともとはアレルギー治療のための食事療法だったのが、代謝がよくなるためダイエットとして行う人が増えてきた。パン、うどん、パスタ、ケーキ、クッキーなど小麦製品を食生活からシャットアウトすることになる。
「朝食はパンの代わりにおにぎりを食べたり米粉のパンを代用したり。チキンなどのタンパク質を意識してとっていました。
すぐには変わらなかったのですが、3週間目にやっと体に変化がありました。動きが軽くなって、体重が減って、肉が取れて(笑)。トレーナーの先生に『背中の肉が取れてますけど』って言われて『あ、グルテンかも!』って」
けれど始めて1カ月ほど経った12月半ばには、早々にグルテンフリーを終了。
「だって、クリスマスがくるじゃないですか。ケーキとか食べたいから(笑)。
それに、小麦粉を使った料理って意外と多いから、それを避けていれば食べる量は当然減るわけで、痩せるのは当たり前かもしれないな、と気付きました。
もともとパスタとかパンとか、大好きなので。絞りたくなったらグルテンフリーにすれば痩せられることがわかったので、一応、終了しました」
以前から健康法で気に入っているのは、サウナ。
「すごい冷え性なんです。末端を温めるのにいいかな、と。でも寒い季節は、水風呂に入るのが怖くて(笑)。冷水シャワーで済ませていました。夏場になったらまたサウナ、水風呂とフルコースで楽しむつもり。
プールとかお風呂とか、何でも水につかるのが好きです。毎日寝る前は必ず湯船につかっています。夏でもほぼ毎日湯船につかって、汗をかいています。それが、ストレス解消にもなっています」
食べ物のマストは、キムチと大豆製品。
「味噌汁はよく作りますし、発酵食品は大事ですよね」
そんなこんなで健康な日々を過ごしていたものの、50代に入ってから、ちょっとした変化を感じ始めた。
「メンタル的に、ちょっと波がありまして、しんどかった時もありました。でもその原因がわからなくて、仕事のストレスなのかな、と思ったりもしていました。
別の仕事をしている少し年上の知り合いに相談したら、『それ、女性ホルモンじゃない?』って。『私も同じで、今、薬を飲んでいるけど、ずいぶん軽くなったよ』って教えてくれたんです。
それで私もお医者さんに行ってホルモン検査をしてみたら、先生が『それは更年期の症状ですね』と。それを聞いて、『あ、更年期か。だったら仕方ないよね』って、急に気持ちが楽になりました」
更年期対策に、瞑想もやってみた。
「女性ホルモンを整える瞑想、というのがあると聞いて、ワークショップに行ってみました。その時の私には効果を実感できなくて、時間もなかったので、その時間があったら寝たいなと思っていました(笑)。私には、瞑想は向いてないみたいです(笑)」
あれこれやりながら、今のところ、なんとかやり過ごしている。
「本当に個人差がありますよね。とても大変な思いをしている友人がいて、その方に比べたら私なんて全然マシなほうだなって。その一方で、全く何の不調もなかったという先輩もいらっしゃったし。
MyAgeを読んで、更年期のこと、もうちょっとお勉強します(笑)」
2009年に宝塚を退団後、拠点を東京に移して、ミュージカルやストレートプレイなど数多くの大舞台を踏んできた。
「俳優という仕事は、何歳まででもできると思ってます。自分からやめるという選択肢はないですね。
昨日も同級生の友人と話したのですが、彼女には定年があるけど、私には定年というものがない。もちろん、ケガをするとか声が出なくなるとか、仕事ができなくなることもあるかもしれませんが、それを考えたら、何もできないから。
『今やりたいことをやるしかないよね!』って。ふたりで、『そうだそうだ!』ってことで落ち着きました(笑)。
元気な間は、ずっと舞台をやり続けたいです!」
Daiwa House presents ミュージカル『ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~』
1980年代、イギリス北部の炭鉱の町を舞台に、バレエダンサーを目指すひとりの少年と、彼を取り巻く大人たちの姿を描く。2000年に上映された大ヒット映画『BILLY ELLIOT』(邦題『リトル・ダンサー』をもとに2005年にミュージカル化された。日本では2017年に日本人キャストで初演、多くの演劇賞を獲得。2020年にも再演された。
舞台写真/2020年公演より 撮影:田中亜紀
【東京公演】東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
オープニング公演 2024年7月27日(土)~8月1日(木)
本公演 2024年8月2日(金)~10月26日(土)
【大阪公演】SkyシアターMBS 2024年11月9日(土)~24日(日)