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【50歳からの断捨離®道 】モノがたくさん&片づけられない50代の心理。それは「不安、執着、現実逃避、被害者意識、他人への依存、孤独感」。

断捨離®とは「断つ」「捨てる」「離れる」。ヨガの「断行」「捨行」「離行」の3つの頭文字を合わせたもの。自分にとって不要・不適・不快なものを除き、ご機嫌な人生を自分の手でクリエイトする方法です。断捨離トレーナー大澤ゆう子さんに、50代の断捨離の極意を教えていただきます!

前回は築30年の一戸建ての我が家のキッチンをお見せしながら、断捨離には「モノの断捨離」と「汚れの断捨離」のふたつがあること、そしてこのふたつはセットであることをお話しました。

 

まずモノを減らして掃除がしやすい環境にし、それから次に汚れを断捨離するのですが、そもそもモノの断捨離ができない人がいます。

 

そういった方を見ていると、モノを減らせない背景には大きく分けて3つのタイプがあります。

①未来への不安

「ない、足りない」が起きることへの不安。

例:大量のトイレットぺーパーや洗剤など生活用品の大量ストックがやめられない。その理由は「使いたいときになかったり、足りなくなるのが不安」

 

②過去への執着

過去の思い出や栄光への執着。

例:若い頃に着ていたもう着ない(着れない)服を捨てられない。その背景にあるのは「この服を着ていたあの頃はよかった、楽しかった。それに比べて今は…」という思い

 

③現実逃避

今という現実を見たくない。

家が散らかっていて、居心地が悪い、居たくない。

あれやこれや予定を立てて、外に出たがるタイプです

 

この3つは、対象となるモノ・コト(出来事)・ヒトによって違う場合もありますね

だから、対象となっている現象と向き合う必要が出てくるのです。

 

 

そして、モノを減らせない方の(心理)傾向として、よく耳にするのが、次の3つ。

①被害者意識

自分だけが頑張っているという不満

例:「せっかく私が片付けても…(家族がまた散らかす)」「どうせ片づけたって、誰もほめてくれない」という思いがある。

 

②他人への依存

家族などほかの人の考えや意見ありきで、自分の「こうしたい」がない

例:真っ先に口に出る言葉が「それは夫にきかないと…」「あれは娘にきいてみてからじゃないと」など。他の人の軸でいつも考えている。

 

③強い孤独感

自分の本心を口にせず、遠慮して生きてきたことからくる孤独感

例:同居していた姑の大量のモノにうんざりしていても「自分さえ我慢すれば、波風は立たない」「私はこの家では嫁(他人)なんだから、口は出せない」と目をつむって暮らしてきた。

 

があると感じています。

 

ふだん「片づけられない」「片づかない」と悩んでいる方は、一度ご自分の心の声をじっくりきいてあげるとよいかもしれません。

 

そういう意味で断捨離は今の自分の本音を知り、ではこれからの自分がどうありたいのかを考える機会にもなります。

 

他にも

「知り合いにあげるから」

「バザーに出すから」

「お客さんがきたときに使うから」

など、モノが断捨離できない人たち共通の言い訳が。

 

そういう方は一度断捨離しても、再び家がモノに占領されてしまうことがあります。

 

 

♦断捨離はミニマリズムとは違います

 

この連載の担当編集者がうちへ取材に来たとき、冷蔵庫の中からはじまり、キッチンの棚、寝室の押し入れ、靴箱、日用品のストック場所など、家中のあらゆる収納を見たいと言われました。

[上の写真:大澤家の冷蔵庫。真ん中の段は空けるようにしている。「冷蔵庫にかぎったことではありませんが、スペースに余裕を持たせておくと 心にゆとりが生まれます。それに何かと便利ですよ。多めにつくったカレーを鍋ごと入れたり、ケーキをホールで買ったときにはここへ」。下の写真:冷凍庫の中。食材は小分けにして、冷凍保存。「食事は一日2食自宅で食べるのが基本なのと、普段はおひとり様ですので、緊急時を想定して食材はローリングストック」。立てて収納すると取り出しやすく、何がどこにあるかわかりやすい]

 

 

そこでひととおりお見せしたところ言われたのが、「断捨離トレーナーにしては、このおうち、モノが多くありませんか」でした。

 

 

[上の写真:一人暮らしにしては多いように思えたカトラリーは、主宰している「断捨離&汚れの学校」の生徒さん用と毎月遊びに来る息子さん一家が使うため。下の写真:おたまやフライ返し、キッチンばさみなど毎日のように使うこまごまとした道具は一か所にまとめて収納。四角いプラスチックの容器は計量カップ。どれも自分が取り出しやすくしまいやすいよう吟味して決めたモノの居場所]

 

どうやら編集部の方は、断捨離とミニマリズムは似たようなものだと思っていたようです。

 

でも両者は違います。

 

自分が管理できる範囲のモノの量=モノの適量、というのが断捨離の考え方。

 

ですから「とにかくモノが少なければいい」ではないし、「4人家族だったらタオルは×枚、食器は△個が適量」という基準もありません。

 

私が現在所有しているモノの量は、今の私の適量なのです。

 

 

♦モノを乱暴に扱う人は、自分のことも雑に扱っている

 

たくさんの方に断捨離とそうじのレッスンをしてきて感じるのは、モノの扱いが乱暴な人は自分のことも雑に扱っているんだろうなと思うことが多いということ。

 

一方、モノを手入れしながら大事に使っている人は、食材の扱いからはじまり、お顔のスキンケアひとつとってもきっと丁寧におこなっているんだろなと感じさせられます。

 

ほかには顔に小ジワやシミができれば気がつくのに、自宅の窓のサッシに生えている黒カビには長年気がつかなかったという方も。つまり顔は見ても家の中は見ていないんですね。

 

 

[上の写真ふたつ:マヨネーズやめんつゆ、しょう油など調味料のストック。「この引き出しに入るだけしかストックは持ちません。サイズもこの引き出しに入るものを厳選して買うようにしていますが、先日うっかり安いからと買ってしまったオリーブオイルのボトルが、背が高すぎて入らず……仕方なく処分しました」。下の写真:シンク上の棚にはお弁当箱やタッパーのほか乾物やはちみつ、メープルシロップなどを。「取り出しにくいので最上段はモノを置かないようにしています」]

 

 

 

[上の写真ペーパータオル、ラップ、ジッパーつき保存バッグは予備のフキンなどと一緒にコンロ上に収納。「ラップもホイルもストックは持たない主義です。前はひとつずつ予備を用意していたんですが、うちの場合ひとつを使い切るのにたとえばラップだったら3~4ヶ月かかることがわかり、だったら予備はいらないなと判断しました」。下の写真:コンロ下にはフライパンと一人用の土鍋を。ハンドルがないので場所をとらないT-falのフライパンを愛用]

 

 

♦断捨離は10人いたら10通り

 

自分が管理できる量のモノは人それぞれ違います。

だから10人いたら10通りの断捨離があるのです。

 

そこに共通しているのは、モノが取り出しやすく、しまいやすく、美しく収められているということ。

ひいては自分が快適で機嫌よく過ごせる場所であること。

 

そういう場をクリエイトするのが断捨離です。

[上の写真:シンク上の棚は和食器コーナー。上段には使用頻度が低いものを置いている。真ん中の大皿は自作。扉を開いたとき楽しい気分になるようギャラリー風に器を収納。下の写真:シンク下は洗い桶以外何もない。その理由は「シンクの下って湿気と熱がたまりやすいので」。また「スペースがもったいないからといってモノをしまうのは〝整理収納の罠〟。冷蔵庫もそうですが、空間にゆとりがあるのは気持ちのよさにつながります」ときっぱり]

 

 

 

[「吊戸棚の角は大鍋など場所をとるものをしまうのに便利ですよ」。寸胴鍋は地元群馬の郷土料理おきりこみを作るときや「断捨離と汚れの学校」で生徒さんが合宿するときに活躍。鍋もボウルもピッカピカ!「息子家族やお客さまにちらし寿司をつくるので、飯台も我が家には欠かせません」]

 

 

♦終活としての断捨離より、まず今の自分のために断捨離を

 

OurAge世代は人生の後半戦をどう生きうようかと考え始め、終活という言葉が頭をチラつきだす年代。終活のひとつとして断捨離を捉えている人も多いと思います。

 

でも終活としての断捨離を考える前に、まず「生き活」として断捨離をしてほしいのです。

 

生き活というのは私のつくった言葉で、いきいきと生きるための活動のこと。

 

〝今の自分がごきげんで、いきいきと暮らせる家〟にすることが、老後のことより先だと思うのです。

 

 

【お話を伺った方】

・大澤ゆう子
・大澤ゆう子さん
断捨離トレーナー
公式サイトを見る

1960年群馬県生まれ。断捨離提唱者やましたひでこさんのベストセラー「新・片付け術 断捨離」で断捨離を知り、2012年に第一期断捨離トレーナーとなる。長年、大手ハウスクリーニング会社の代理店を営んできた経験から人気テレビ番組「ウチ、断捨離しました!」(BSテレビ朝日)では〝ピカピカの魔術師〟としてたびたび登場。自宅では月2回、断捨離と掃除の基本などを教える「断捨離&掃除の学校」を開催、多くの断捨離と掃除の悩みに向き合っている

 

※断捨離はやましたひでこさんの登録商標です

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