♦わずか1分間の水滴の拭き取りで、築30年のバスルームもこんなにキレイを保てる
前回、前々回とキッチンを中心に我が家の様子をご紹介してきましたが、最終回である今回は玄関や寝室など他のエリアをお見せします。
下の写真はバスルームです。
「築30年も経った家のお風呂場には見えません!」とこの連載の担当編集者さんがいらしたとき、とても驚かれたのですが……実はふだんのお手入れはごく簡単なことしかやっていません。
[あまりのキレイさに「もはや神々しいレベル」と、編集者がうなったバスルーム。カビはもちろん水アカや汚れが一切ない、清潔でカラリとした空間。入浴せずとも一見しただけで、心身の汚れが洗い流せたような気持ちに]
入浴後、壁や床にシャワーでお湯をかけながら手の平でさっとこすったら、体を拭き終えたタオルで水滴をとるだけです。
私は座ったまま体や髪を洗うので、水は立ったときの腰の高さくらいまでしかはねていません。
なので壁は全面を拭くのではなく、腰の高さくらいまでだけですから、所要時間は約1分間くらいでしょうか。
これで十分、清潔さと美しさが保てます。
お風呂場専用の洗剤などは使っていません。
数か月に一度、ドアのパッキンなどゴム部分にカビとり剤を念のために使うくらい。
そもそもカビや水アカは水分があるから発生するのです。
水気がなければ、カビも水アカも生じません。
♦玄関はお客様だけではなく、自分や家族を「おかえり」と迎えてくれる場
次は家の顔である、玄関をご紹介します。
[手入れされた鏡、天井、三和土が外光を反射し、玄関を明るい場にしている。「外出時は玄関の明かりはつけていきます。だって夜、真っ暗なところへ帰るのはわびしいでしょ? そのくらいの電気代は自分への投資(笑)。ちなみに電球はLEDです」]
玄関もお手入れはごく簡単なことしかしていません。
三和土に掃除機をかけ、モップで仕上げるだけ。
拭き掃除はしていません。
〝玄関は家の顔〟とはよくいいますが、玄関がお迎えするのはお客様だけではありません。自分や家族を迎える場、帰宅したときホッとする場でもあります。
あなたのお宅の玄関は、ご自身や家族が外出先から戻ってドアを開けたとき、ホッとする場となっていますでしょうか。
そして靴箱の中はこんな感じです。
[「靴箱の扉を開けたとき、ワクワクするように」と、お店のディスプレイのようにしまわれてある靴。「今日の服に合う靴はどれ?今日の私を引き立たせてくれる靴はどれ?と自分が気分よく出かけられるよう、靴を選べます」]
もうひとつ靴箱があるのですが、左半分の棚板はとってしまいました。
なぜかというと、しまいたいものがないからです。
まだ入る、もっとしまえる。だから靴を増やしてもOKだよね?
…これは整理収納の罠です。
♦「欲」は脳が起こしたエラーの場合も
人間にはもっと欲しい、もっと〇〇したいという欲があります。
でも欲にはご注意を。
欲は脳が起こしたエラーである場合もあるからです。
・自分の生活では使い切れない量のモノを「もっと」「さらに」とため込む
・本当は必要でないのに、「手放すのはもったいない」と抱え込む
これなどは脳が起こした、欲というエラーの典型です。
この「欲は、脳の起こすエラー」という話をしていた最中、編集者さんから面白い話をききました。
彼女が以前、とある有名な学者さんを取材したとき、その先生がおっしゃったそうです。
「食べ放題のバイキングでたくさんの料理を皿にとって、結局は食べきれずに残しちゃう人っているでしょ。
ああいう人は動物として、もう退化しているんです。
なぜなら本来動物は自分が食べきれる量しか獲らないのだから」
これをきいて思わず膝を打ちました!
モノについても同じことがいえるのでは、と。
使い切れない量のモノを持ち、結果ムダにしてしまうことは、食べきれない量の料理を皿に盛るのと同じではないでしょうか。
また、モノを減らせない理由のひとつに「人からもらったから」があります。
そのひとつが雛人形や五月人形など、親がそろえてくれたもの。
我が家も息子が生まれたときに両親が買ってくれた五月人形がありましたが、息子たちが成長したのち手放しました。
もちろん子どもたちが小さいときは飾りましたよ。
けれど息子たちが成長するにつれてだんだん出番がなくなり、ある日カビが生えてしまったことに気づいたのです。
手入れもせず、飾って愛でてあげることもなくなった人形。
このままカビさせておくよりはと、「おかげで子どもたちはすくすくと育ってくれました。ありがとうございます」と手を合わせ、新聞紙に丁寧に包んで処分しました。
実はここで編集者さんから「大澤さんの場合はご自分の親が買ってくれた五月人形でしたが、これが義両親(夫の親)が買ってくれたものだったら、そんなに潔く捨てられますか?お姑さんが遊びに来たとき、ばれたらどうしますか」と今度はつっこみが入りました。
たしかに「夫の親が孫にと買ってくれたものの処分に困っている」というご相談を受けます。
この場合は、前回お話しした〝自分軸〟のことを思い出してください。
自分軸とは「本当は自分はどうしたいのか」を問い、行動すること。
子どもが成長し、もう飾ることのない五月人形が、いつまでも場所をとっていることにストレスを感じているのなら手放し、義両親に人形のことを聞かれたときは「おかげさまで、無事に成長しましたので」と感謝を伝え、理解してもらうのもひとつの方法です。
もしそこでこじれるようなら……それは人形を処分したことではなく、今までのあなたと義両親の関係に原因があるのかもしれません。
[「季節ごとに雑貨屋さんで見つけた手ごろなものを飾ってたのしんでいます」という靴箱の上。今は鯉のぼりが]
♦服をはじめ身に着けるものは、寝室の押し入れに収まる量だけ
最後に服や部屋着、アクセサリーなど身に着けるものすべてをまとめてしまってある場所をご紹介します。
寝室として使っている和室の押し入れが、私のクローゼットです。
[上の写真:洋服はこの押し入れにあるもので全て。今の季節に着るものをハンガーにかけ、シーズンオフの服はタンスの中に。衣替えはハンガーの服とタンスの中を入れ替えるだけで完了。「衣替えのときに毛玉や穴があいていないかチェックし、そうであれば手放します」下の写真:タンスにはほかにもインナー、ハンカチやふろしき、靴下やストッキングなどが整然としまわれている]
タンス(息子のおさがり)は、この一棹のみ。
ここに身につけるもの、装うものをすべてしまってあるので、おでかけのときはこの和室であれこれコーディネートします。
そしてこの部屋にはもうひとつ押し入れがあるのですが、そこには布団(ベッドは使っていません)やスーツケースをしまっています。
[和室にあるもうひとつの押し入れ。ここも空間に余裕をもたせて収納。「ふすまを開けたとき、びっしりとモノが詰まっているより、スペースがあったほうが気持ちいいでしょ」]
昔は「モノが多いこと=豊か」でしたが、現代はモノが多いことでモノに振り回され、逆に疲れてしまっている方が多いように思います。
そのため
自分が管理できる量のモノを手入れしながら使う生活の心地よさ
掃除がしやすく、モノの出し入れがラクな家の快適さ
それらをお伝えできたらと思い、この連載ではお話ししてきたつもりですがいかがでしたでしょうか。
私はお天気の良い日、リビングから自分が植えた花々が咲く庭を眺める時間が至福の瞬間です。
ときには窓から差し込む日光の中、磨きあげた床の上に子どもようにごろんと寝そべり、思う存分に日向ぼっこもします。
どれも自宅ならではの楽しみです。
ぜひご自宅を自分にとって最高に気持ちのよい場、元気がチャージできる場、つまりはパワースポットにしてみませんか。
[リビングルームから窓越しに見た、お庭の様子。あまりにも窓がきれいなので、まるでガラスがないかのよう。「でも毎日磨いているわけではなく、一か月に一度くらいですよ。庇もあるし、夜は雨戸を閉めているのでそれほど汚れないものです。大事なのは汚れをためないことなんです」]
【お話を伺った方】
1960年群馬県生まれ。断捨離提唱者やましたひでこさんのベストセラー「新・片付け術 断捨離」で断捨離を知り、2012年に第一期断捨離トレーナーとなる。長年、大手ハウスクリーニング会社の代理店を営んできた経験から人気テレビ番組「ウチ、断捨離しました!」(BSテレビ朝日)では〝ピカピカの魔術師〟としてたびたび登場。自宅では月2回、断捨離と掃除の基本などを教える「断捨離&掃除の学校」を開催、多くの断捨離と掃除の悩みに向き合っている
※断捨離はやましたひでこさんの登録商標です