ニューヨークで結婚して離婚する場合、双方が弁護士をたてる必要があります。
裁判に持ちこむとお金がかかるので、夫は裁判に持ち込むより安くすむ(といっても、100万円以上かかりました!もちろん、その費用を負担したのは離婚を要望した夫です)協議離婚を望み、私はそれに応じました。
協議離婚の場合は、ミディエーターとよばれる仲裁を担当する弁護士が別途つきます。
その弁護士は私より少し若いか同年代と思しき白人の女性でした。
彼女も子供が1人いる離婚歴のある女性でした。
何ヶ月かにわたって夫とその弁護士と3人で会ったのですが、ある日夫がトイレで席を外すと、彼女はすぐさま私に、「もう新しい相手探してる?」と小声で聞いていました。
当時の私は、夫が気が変わって戻ってきてくれたらいいのにと秘かに思いながらしぶしぶ協議に応じていたので、「え~探してないです」と言いました。
すると彼女は、「え~なんで~?私なんて、夫と離婚協議が始まるや否や、すぐに探し始めたわよ!」と言いながら、スマホの画面で探すしぐさを見せました。
彼女の場合も夫が離婚を希望したようだったのですが、離婚が確定していなくても、相手に結婚を継続する意思がないとわかった途端に新しい相手を探し始めるって、それもニューヨークならではなのかなぁ、そんなふうによくドラスティックに気持ちの切り替えができるなぁ~と当時の私は思いました。
私が初めてマッチングアプリにトライしてみたのは、別居し始めて1年くらいたった頃。
当時は、eHarmonyと Matchが主流な感じでした。
そこでマッチした数人の人と会い、お互い気に入った人もいたのですが、特にいいと思った人がうつ病であることに気づき、マッチングアプリを続ける意欲をなんとなく失いました。
その後は経済的にも苦しくなり、ティーンエージャーの息子がいて借金まみれで半年後にどこに住んでいるかもわからないような女とつき合いたい人なんていないだろうと思い、何年もの間、探すことすらしませんでした。
女性の中には、経済的に困った時ほど相手を探す人がいるようですが、私はお金に困っている時に探しても、ろくなことにならないと思っていました。
お金はもちろん大事です。
私が当時お金に困ったのは、夫が稼げなくなっていたからで、結婚していた時も一時期を除いた大方の年数は、常にお金の心配をしないといけない状況でした。
なので、もうああいう思いは二度としたくない!お金をちゃんと稼げる人でないと絶対に嫌!という思いは強くありました。
でも経済的に頼らないとやっていけない状況の時に、経済的に頼れる男性をつかまえたい!ということになると、話は違うと思います。
経済的に面倒をみてもらっているのだからと、不本意なことでも妥協したり嫌なことを我慢しなければいけなくなったら、それは健全で幸せな関係とはいえないでしょう。
「類は友を呼ぶ」ということわざがありますよね。
下心がある状態で人に近づいたら、先方もなにかしらの下心をもっていると思った方がいいと思いました。
当時は家を売りに出していましたが、その家もなかなか売れなかったので、まず新しい住まいに落ち着いてからにしようと思い、新しい相手探しはいったん棚上げすることにしました。
幸い仕事がずっと忙しかったのは救いでした。
私は20代初めの頃から「自分の食い扶持は自分で稼ぐ」と思っていて、男の人に養ってほしい、専業主婦になりたいと思ったことがありませんでした。
たとえお金持ちの男性と結婚したとしても、離婚したり夫が失業したり怪我や病気になって働けなくなったりする可能性はありますから、自分の自由になるお金をもっていることは非常に大事と常々思ってきました。
仕事に一生懸命になり過ぎて夫婦生活をおろそかにしてしまったことは否めませんが、そのくらい仕事してきたから今があることも否めません。
最終的に頼りにできるのは自分だけです。
何があっても仕事を手放さなくてよかったと心から思っています。