若さも体力も衰え、しかも老後のお金もまったく足りない!!コロナ時代の将来は、心配なことだらけで、考えただけで動悸も早くなる。おひとりさまの心の安定は、どうしたら手に入れることができるのでしょうか。
Q おひとりさまの老後が不安
42歳で夫と死別し、社会復帰しましたが、親の介護が続き、介護が終了したら50歳を過ぎていました。再就職は厳しく、今はパートとして働いています。
周囲は定年退職や在宅ワークのご主人さまへイライラを募らせているようですが、私からしたら贅沢な悩み。稼ぐことも今後の人生をつくるのも自分でしかなく、お金、健康など、不安は半端ではありません。(54歳・パート)
お悩みに答えてくれる人生賢者は
地曳いく子さん
Ikuko Jibiki
スタイリスト。30年以上にわたり数々のファッション誌やタレントの衣装などを担当。『50歳、おしゃれ元年。』など著書多数。近著に「若見えの呪い」(集英社文庫)、「日々是混乱 これが私のニューノーマル」(ホーム社)など。OurAgeの連載『地曳いく子のババア上等! 悩み相談』も切れ味のよさで大人気
A 誰もが不安とともに生きる時代。「心の浮き輪」で自分を甘やかして
旦那さんを亡くされて、親ごさんを介護して…本当にお疲れさまでした。人生って、そういう「がっくりポイント」が必ずあるものですよね。しかも今やコロナのせいで、地球上の全員が「ハズレくじ」を引いた状態。「自分だけがうまくいかない」と思うと孤独だけれど、今は誰もが不安を抱え、不安とともに生きるしかない時代なんですね。
そんな暗いトーンの日々を生き抜くには、ちょっとでも気持ちがアガる時間を持つことが大事です。大好きなアイスを食べるのでも、『愛の不時着』を観るのでもいい。「心の浮き輪」になるものを見つけて自分を甘やかしてください。
私は先日、IKEAでガーデン用の椅子とテーブルのセットを4,999円で買いました。ベランダに置いて、できるだけ外で朝食をとるようにしています。お気に入りのメニューは、マフィンとゆで卵とミルクティー。うつうつとした気分も、朝の光でリフレッシュされますよ!
お悩みに答えてくれる人生賢者は
水島広子さん
Hiroko Mizushima
精神科医。対人関係療法専門クリニック院長。元衆議院議員。日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。『女子の人間関係』など著書多数
A 「現在」の質をよくすることをつねに心がけてください!
今、多くの人が同じような不安を抱えていると思いますが、お金や健康の問題は個々の事情に大きく左右されるもの。「老後の資金がないのは自己責任」と言う人もいますが、42歳で夫が亡くなるなんて自分が望んだことではないのですから、自分の責任だと抱え込まないで。
生活保護の制度で最低限の文化的生活は守られますから、万が一のときは遠慮せずに、権利を行使してください。そのうえで大事なことは、「現在」の質をよくすることをつねに意識することです。
私たちが体験できるのは「現在」で、未来はその積み重ねでつくられていきます。そして「現在」をどう過ごすかは、自分で決められることなんです。
だから、おいしいお茶を飲むとか、ストレッチするとか、今の質を上げることを心がける。これがトレーニングとなって身についていけば、不安もやわらぎ、80歳になってもいい「現在」が送れていると思いますよ。
イラスト/坂本奈緒 取材・原文/佐藤裕美、本誌編集部