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混み合う「全国旅行」より近場再発見旅が熱い! アートからレトロ、そして異空間!にも出会う、ディープな房総の小さな旅(前編)

松浦まみ

松浦まみ

1964年生まれ。サイクリスト/ハチドリ運動家/知食講座「PHILOSOFOOD」主宰、フリーランスPR。大学卒業後に渡仏、映像制作の世界へ。結婚してパリと東京の二拠点生活となり、出産・育児を経たのち仕事に復帰。ラグジュアリーホテルの広報、ウェルネスプログラムの開発、食の教室、自転車イベントのプロデュース、選手のマネジメントなど「好きなことしか仕事にしない」をモットーに事に仕える。

ウェブサイトhttps://philosofood.jp

Instagramアカウントはmami matsuura

房総半島で、自然、アート、カフェを一日で楽しむ                                  

 

こんにちは! 自転車に恋する女、松浦まみです。

あんなに暑かった夏も思い出すのが難しいほど、すっかり秋の気候となりましたね。

 

秋はお出かけにうってつけの季節。とはいえ「全国旅行支援」のおかげで、どの観光地も人でいっぱい!との噂。

そんな中で、この秋、私がお出かけ先としてご紹介したいのは、意外な近場、千葉県・房総半島です。

 

千葉や埼玉って通勤圏なので、あまり「旅」のイメージが湧きませんが、すぐそこで日帰りも可能なのに、しっかり「旅情」が味わえるスポットがあるのですから、行かない手はありません。

 

房総には自然派も、アート派も、カフェ巡り派も、それぞれが楽しめるスポットが点在しています。

電車でも車でも、アクセスも良し。それぞれ違った楽しみ方ができます。

 

 

私?  自転車仲間と車で行ってきました! もちろん、自転車を積んで。

車だと、東京湾を横断するアクアラインで一気に千葉にアクセス。川崎から対岸の木更津までは、わずか15分です。

あっという間に房総半島に上陸、そのまま内陸に向かって走ると、そこには青空とのコントラストが美しい緑の里山が。

 

私達がサイクリングのスタート地点に決めたのは、あの北川フラムさんが館長を務めるモダンアートミュージアム、「市原湖畔美術館」です。

 

この日はあいにくと休館日でしたが、屋外展示のアート作品は自由に見ることができるので充分に楽しめました。

高滝湖が広がる周囲の自然と、無機質で大胆なアートがマッチした面白い空間です。

 

篠原勝之作品「飛来」

 

色部義昭+フロントギャラリー作品「Watermark」

 

この地域では、3年に一度開催される「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス」というアートフェス(次回は2年後)があり、期間外でも屋外アートスポットがあちこちに点在しているのです。

 

まずはアートを堪能して、さあ、サイクリングのスタート。湖を眺めながら気持ち良く走り出します。

 

                                                                                       

 

ノスタルジックな風景と出会いに、里山へ

 

平日だったので車は殆ど見かけず、細い道に入ると一気に秘境感!

 

車どころか人も通らないような道をのんびり走ります。

 

唯一、人間の営みを感じさせるのは、時々ふいに現れる線路

 

この小さな線路を横切るのがなぜか無性に楽しくて、何度も行ったり来たりしてしまいました。ほら、子どもの頃って雨の日に長靴でわざわざ水たまりに飛び込んだりしませんでしたか?まさにあんな感覚です。

 

懐かしい佇まいの月崎駅

 

この可愛らしい路線は「小湊鉄道線」といい、千葉県市原市の五井駅から多喜町の上総中野駅までを結ぶ単線の路線です。
39kmの路線内に18の駅があり、その多くが無人駅です。観光鉄道として人気があるのもわかります。

 

駅舎や路線周辺の風景もどこか懐かしい、ノスタルジックな雰囲気。

 

レトロな月崎駅構内

しばらく走ると、紅葉で有名な養老渓谷があります。この近辺まで来ると、鄙びた様子ながらも観光地なので車も人も見かける様になりました。

 

養老渓谷は緑と川のせせらぎが美しく、遊歩道も整備されているので、インドア派の人でも安心して歩けます。マイナスイオンを浴びながらの散策はこの上なく快適で、紅葉の頃(11月後半〜12月初旬)は、さぞ絶景に違いありません。

また近くには、つげ義春が投宿した「川の家」という鄙びた温泉旅館があります。ファンの方はぜひ寄ってみては。

 

これから紅葉に向かう養老渓谷

 

 

魔界の入り口? いえ、歴史が香るミステリアス・ゾーンへ

 

しかし、私達が今回最も楽しみにしていたのは渓谷巡りではなく、実はトンネル。

 

 

それもただのトンネルではなく、車がなかった時代に人々が人力で切り拓いた“素掘り”のトンネルです。

 

ダイナミックな壁面を見せる月崎トンネル

 

房総は素掘りトンネルが数多く点在する国内でも珍しいエリアであり、実はその筋のマニアには垂涎の聖地なのです。

自然の厳しさと、人の知恵と技術が織りなす、その美しくも摩訶不思議な光景は、“隧道”という言葉がしっくりくるかもしれません。

 

どうですこの二階建てトンネル!ミステリアスな光景でしょう?

上の素掘りが向山トンネル、下の近代的な作りが共栄トンネル。この2つが繋がって、断面が2階建てに見えるというわけです。

 

このSF映画のセットみたいなトンネルは、永昌寺トンネル。時空を超えてどこか遠い惑星にワープしそうで怖かった…。

 

将棋の駒のような五角形の掘り方は日本古来のもので、「観音堀り」と呼ばれる様式。

上部を尖らせることでトンネル上の山全体の圧力が左右に分散し、崩落を防ぐ効果があるのだそう。明治期に掘られたと言われていますが、昔の人の知恵って凄いですね。

 

地層の厚みは3メートルもなさそうだけど、上にはしっかりと樹木が茂っていてなんとも不思議な光景です。

 

ノスタルジックな風景の里山、美しい渓谷、ミステリアスなトンネルを巡って、すっかり旅気分を堪能しました。

 

このトンネルツアーは道幅が非常に狭いところを通るので、車で回るのはかなり難易度高めです。とはいえ、自転車を車や電車に載せて、共にここまで来るのも、慣れていないとなかなか大変。

 

そこでご提案。小湊線の月崎駅と養老渓谷駅近くには、レンタサイクルがあります。

どちらかの駅付近に車を置いて、または電車を降りて、自転車でトンネルを見に行くのはいかがでしょう?

 

私のようなロードバイク乗りは2時間くらいで「全部盛り」を楽しみましたが、慣れない場所でレンタサイクルで回る場合は、いずれかの駅を起点としたショートコースが良さそうです。
下の地図を参考に、ぜひトライしてみてください!

*レンタサイクルは予約不可のため、混雑情報などを事前に問い合わせて。
 
●月崎駅から

 
・月崎駅〜永昌寺トンネル〜柿木第二トンネル〜柿木第一トンネル 1.6km(自転車で10分・徒歩20分)

・月崎駅~月崎トンネル 約2km(自転車で15分・徒歩30分)

 
この辺りは至るところにハイキングコースがあるので、ハイキング好きな人はトンネルも徒歩で回っても。
噂の「チバニアン(地球磁場逆転地層)」、苔と山野草のアート作品「森ラジオステーション」、アーティストが運営するギャラリーカフェ「このいかふぇ」、「世界一のトイレ」などマニアックなスポットが満載!
 
 
●養老渓谷駅から

 

・養老渓谷駅~二層式トンネル(向山・共栄トンネル)2.9km(自転車で約20分)

 
このエリアはやはり養老渓谷そのものが主役です。映えスポットの名爆あり、橋あり。紅葉の時期はどこを切り取っても絵になります。

 
さて、ミステリアス・トンネルツアーの後は、車で南房総へと向かいます。そこには、わざわざ車を飛ばして行くような素敵な場所があると聞いたので…。
 

後半は、誰にも教えたくないとっておきの場所へ。

 
この先は、次の記事に続きます!

 

◆今回の旅で参考にしたサイトはこちら

「房総半島素掘りトンネルナビ」
小湊鐵道

 

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