更年期との闘いをルポした『コーネンキなんてこわくない』、最新刊『これから30年をゴキゲンに生きる。』の著者、作家の横森理香さん。40代後半から、折々にエンディングノート『Never Ending Note 未来に残すエンディングノート』を書き込んできました。
4月20日に配信されたOurAgeのインスタライブでは、その体験を元に、ご自身の書き込んだページを見せつつ、具体的に「何を感じたか」「どんなことに気づいたか」「書くとどんな効果があるのか」「絶対書いておくべきページ」などについて、お話してくださいました。
視聴した方からは、すぐにでも書きたい! 今こそやらなきゃ!という反響が。
楽しい雰囲気で語られたインスタライブの模様はコチラからご覧ください。
ゴキゲン終活のインスタライブを終えて、横森さんが『Never Ending Note』との歴史と気持ちの変化を書いてくださいましたので、ご紹介します。
『Never Ending Note』を更新し続けて、見えてきたこと、よかったこと
横森理香
最初の「ネバ―エンディングノート」が発売されたのは2012年。東日本大震災のあとだった。健康で生きていても、何歳でも、いつ何があるか分からないと、皆が感じた出来事だった。
それまで、終活とかエンディングノートの書き込みなんて、高齢者がするものと思っていたが、集英社の大人女子たちが、
「いつ何が起こるか分からない今、あなたは未来に何を残しておきたいですか?」 という問いかけで、Facebook上に「未来に残すエンディングノート編集委員会」を始めた。
1400人にものぼる女性たちからの意見をもとに、お洒落なエンディングノートが出来上がったのだ。
もしもの時に役立つエンディングノートというだけではなく、その人と大切な人を永遠につなぐ、「ネバーエンディングノート」。それぞれが主人公の、たった一つしかない人生の記録を一冊にし、これから先の人生も素敵に生きる計画を立てる。
最初はピンクのエンディングノートだった。ビジュアルを製作したカイフチエリさんが写真の切り貼りの仕方など指導してくれるイベントで、私も参加者のみなさんと書き込みをした。
このころ私はまだ四十代。まだ遺書なんて書きたくないと思った。エンディングノートに書き込んだら、なんかすぐ死んじゃいそうでイヤ、とか思っていた。だから適当に、ビジュアル製作だけを楽しんで、あとはほっといた。
真剣に書き込むときがやってきた!
しかし、あれから九年の月日がたち、私は五十七歳になっていた。
男性にも使えるミントブルーの『Never Ending Note 未来に残すエンディングノート 令和ブルーVer.』が発売。また書き込みイベント出演のため、今度は真剣に製作することになった。
折しも時はコロナ禍。自粛生活でやることもなく、古い写真を引っ張り出しては切り貼りし、思い出を整理した。現物を切って貼ってもいいものはどんどん切り貼りし、いらない写真は捨てた。
コロナも最初の頃は未知のウィルス過ぎて、誰もが、うつったら自分も死ぬのではないかという恐怖心があったから、今度は真剣に製作した。
にもかかわらず遺書めいたことを書くのはまだ縁起でもない感じがして、大切なデータのところは書かなかった。
。
めんどくさいのもあったが、そんなこと書いたあとで、ほんとにうっかり死んじゃったら、
「虫が知らせたんだね・・・」
とか言われそうでイヤだったのだ。
人生を振り返って見えてきたこと
私のお気に入りコーナーには、歴代の猫たちの写真を。
娘の制服時代の写真や、お気に入りのジュエリーも。娘が使うときにはどういうものか分かるようにしておいた。「50代以降はゴツイのが似合うわね♡」とメッセージも添えて。
お気に入りのコスメも写真に撮り、縮小プリントして貼っておいた。
娘の小さい頃の写真、世界のお気に入りの場所、大切な思い出をどんどん書いていった。
心に残る言葉コーナーには、座右の銘を書いた。
「今日が最後の日と思って生きる」
娘の十三参りで京都に行ったとき、芸者と舞子のコスプレをして写真を撮った。その思い出も切り貼りした。
元気が出る言葉は、
「今日が一番若い日」。
ライター時代、大好きなゲイのカップル写真家、ピエール&ジルのアトリエに取材で行き、二人と撮った写真も貼った。パリまで行って、取材してまわるなんてこと、アラカンの今は無理だが、若かったからできたこと。こういう想い出は、我が人生まんざらでもなかったなと思わせてくれる。
「自分年表&これからやりたいことリスト」のページでは、生まれてからこれまでの歴史を振り返り、これから何をしたいかを明確化した。
二十代から四十代までは、海外旅行大好きだったが、年を取ってから日本旅行が好きになった。
過去を振り返ると、自分の成長がよくわかる。人間、死ぬまで成長だというが、これから先、何をやってどう生きていきたいかが、見えてくるのだ。
「コミュニケーションマップ」は今日から役立つ!
末尾に、「コミュニケーションマップ」というページがある。故人の関係するグループ名とキーマンの連絡先を記入するようになっている。アラカンを前にした三回目のイベントはインスタライブだったから、その直前に書き込んだ。
私にもし何かあったら、連絡してほしい人をグループごとに書き込んだ。
人選には時間を要した。うろたえて、何もできなくなってしまう可能性のある人は、可哀そうだから外した。
そして、どっちが先に逝くかもこれからは競争だから(笑)、フリクションペンで書いておいた。更新が必要になるかもだから。
しかしこれがもし残されたら、遺族はたいへん助かるだろうと思う。母校の同級生や、子供や仕事のつながり、サークル、お教室、SNSのグループなど、もしものとき、誰にどんな連絡をしてほしいか書いておく。
私たち大人女子も、うっかり死んでしまう年になってきたし、親が高齢ならば、一緒に書き込むお手伝いをした方がいいかもしれない。
「あんた、私が死ぬのを待ってるんかい?」
と言われたら、
「私だってもう何があるか分からない年になって来てるんだから、一緒に書こうよ」
と誘ってあげるのだ。
親がボケる前に。余命宣告されないまでも、病気で入院してたりしたら暇だし、一緒に出来ることも限られているので、切り貼りする想い出の写真など持って行って、やってあげたらどうだろうか。
世界に一つの「自分史」作り
今回のインスタライブで、反響をたくさんいただいた。みなさん、やる気になってくれたようだ(笑)。
億劫だろうが、世界に一つの「自分史」を作ると思ってやると、きっと面白い。
この一冊ですべて振り返れるようにすれば、年取って入院したり、高齢者施設に入ったりしても、簡単に持っていける。それ以前に再婚や、退職にともなう帰郷、移住の際にも携帯できる。
定期的に更新することで目を通せば、これから三十年をゴキゲンに過ごすためやるべきこと、やりたいことが明白になる。「自分」というものがとてもクリアになり、シンプルに幸せを追及できそうだ。
加齢とともに気力体力は目減りするだろうし、研ぎ澄まして好きなことを追求するのは、自分の魂に忠実に生きることになるだろう。
人はやがて肉体を離れるが、魂は永遠だ。
ネバーエンディングなのである。
★横森理香さんが書き続けているエンディングノートはこちら。
『Never Ending Note~未来に残すエンディングノート 令和ブルーVer.』
2012年発売し、年齢に関係なく書ける、新しいスタイルのエンディングノートとして話題に。2020年に相続などの法律などのコラムを改定し、ミントブルーの令和バージョンを発売。
「もしも」の時の連絡先や保険や預貯金などの必要な情報はもちろん、自分年表、料理レシピ、旅の思い出、なんでもベスト10など、自分の記録ができるノート。これまでを振り返って書くうちに、これからやりたいことが見えてくる、元気になってくるとの声多数。お墓や相続などについての基本の知識も得られるページも。ゴキゲン終活の第一歩として役立ちます。