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疲労回復効果を爆上げするのは「休養の組み合わせ」

心身ともにしっかり休養をとり、活力を上げるには「いくつかの休養方法を組み合わせるといい」と、休養に詳しい片野秀樹先生。今回は日常で取り入れやすい休養の組み合わせ方について教えていただきました。週末をただ体を休ませる日にするか、パワーチャージする機会にするかは、アイデア次第と言います。

外部環境を変える「社会的休養」も必要

ここまで、体の機能を休ませる「生理的休養」と、心を休ませる「心理的休養」についてお伝えしてきました。

そして、片野秀樹先生が提案する休養にはもうひとつ、「社会的休養」があります。

 

「社会的休養とは、自分の外部環境を変化させることで、いつもの自分からいっとき離れて気分をリセットすることです。
生理的休養と心理的休養は、それぞれ3タイプずつありましたが、社会的休養は『転換タイプ』のひとつのみです。


転換とは、周り=自分の外部の環境を変えることです。

例えば旅行など、いつもと違う場所に行くのが代表的でしょう。

50代ともなれば、まとまった休みが取れると旅行に行くのが趣味という方も多いのではないでしょうか?

 

でも、外部の環境を変えるというのは、なにも今いる場所から別の場所に移動することだけを指すのではありません。
皮膚一枚外側は「外部環境」ですから、極端なことを言えば、身につける衣服を替えたり、机の上や引き出しの中を整理整頓するのもそれに当たります。
家の中を模様替えする、といったことも含まれます。

 

引っ越しや転職などを思い浮かべる方もいるかもしれませんね。

もちろんそれも転換に当たりますが、休養として日常的にできるレベルのことではないため、思い立ったらすぐ行動に移せそうなことから始めてみるといいのではないでしょうか」

 

休養の組み合わせで「活力」をより多くチャージする

生理的休養、心理的休養、社会的休養はどれも大事ですが、これらはそれぞれ単体でやるよりも、いくつかを組み合わせることで疲労回復効果が2倍、3倍にもなるのだそう。

 

「実はこれ、わざわざ意識しなくてもすでにやっている人は多いかもしれません。

例えば、いつも行っているジムで適度な運動をするのは生理的休養の『運動タイプ』ですが、そこで他の人と挨拶や雑談を交わすといったことがあれば、心理的休養の『親交タイプ』が加わります。

 

記事が続きます


手作りの弁当を持って歩いて公園に行って食べるのは最高の休養

また、胃に優しく消化に負担がかからないお弁当を自分で作ることは、生理的休養の『栄養タイプ』と、心理的休養の『造形・想像タイプ』

それを持って、歩いて15分くらいの場所にある緑の多い公園に行って食べる。これは生理的休養の『運動タイプ』と、心理的休養の『親交タイプ』。社会的休養の『転換タイプ』。
これだけで5つもの休養を組み合わせることができるのです。

 

さらに、お弁当を作って食べるのを一人ではなく、家族やパートナーと一緒にやったら?
公園でお弁当を食べたあとに、好きなアーティストの音楽を聴きながら散歩をしてみたら?

アイデア次第で、いくつもの休養タイプを組み合わせることができますね。

 

休養をただ体を休ませるだけとするか、活力を上げる機会とするかは自分次第といえるでしょう。

こんなにいろいろな休み方があるのですから、無理に苦手なことをしてストレスをためる必要はありません。
自分が楽しい、心地よいということだけ、選んでやればいいのです。

 

もちろん、最初のうちは『やってみたけど、なんかしっくりこない』『むしろ疲れた』ということもあるかもしれません。
活力を上げるぞ!とばかりにいろいろ詰め込みすぎてしまうと、そうなってしまう可能性もあります。

その場合は、いろいろ調整してみて、自分のベストを探していくしかありません。

休養も『技術』である以上、試行錯誤していくことで『休む腕前』を上げていけるのです。

 

また、パートナーや家族がいると、休養のとり方の意見が合わないこともあるでしょう。
例えば、自分はハイキングに行きたいけれど、パートナーは家で映画三昧がいい…といった具合です。

その場合は無理にすべてを合わせようとしないほうがいいです。

 

もしくは、50代という心身の変化が大きく、また子どもの独立など生活環境も変わる年代ですから、
これを機に夫やパートナーなどと一緒にできる共通の趣味を見つけてみる、というのもひとつの手かもしれませんね

 

 

【教えていただいた方】

片野秀樹
片野秀樹さん
博士(医学)
公式サイトを見る

一般社団法人日本リカバリー協会代表理事、ベネクス執行役員。東海大学大学院医学研究科、国立理化学研究所客員研究員等を経て現在は老人病研究、未病研究等に携わる。休養に対する社会の不理解を解消すべく、多方面で活躍。著書に『「休み方」を20年間考え続けた専門家がついに編み出した あなたを疲れから救う 休養学』(東洋経済新報社)がある。

 

イラスト/二階堂ちはる 取材・文/遊佐信子

 

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