琵琶湖の北端、余呉(よご)湖を望む伝統の発酵技術を昇華させている本物の宿「徳山鮓」をご紹介します。
進化し続ける、日本を代表する発酵の聖地
近年、行くたびに料理も宿も、何かが新しくなっている、徳山鮓(とくやまずし)。
余呉(よご)湖の鮒(ふな)、鰻、鮎、ビワマス。山のきのこ、山菜、ジビエ、地元の米から蜂蜜まで。素材とその生かし方は、唯一ここでしか味わえないからこそ、世界中の名だたるシェフや食好きが訪れる、日本随一の発酵料理宿です。
この宿の原点は、余呉湖で獲れた鮒と地元米の飯を発酵させた伝統の料理、鮒鮓(ふなずし)。独自の発酵技術と漬け方で進化したそれは、時にチーズのよう。
2021年には発酵からすみの新作(下写真5番目)が登場。22年は長年の構想「食べやすい鮒鮓」としてかつてない製法と食感の鮒鮓にチーズや自社ワインを合わせたレシピ(下写真3番目)も。
発酵農学博士や料理人の兄弟、妹とその夫も加わり、時代に寄り添って伝統を再構築する進化は止まりません。
春の鮒鮓山菜ソースと鮒鮓発酵サンド。
徳山鮓を代表する料理のひとつ、月の輪熊鍋のだしにも、門外不出、秘伝の発酵技術が使われています。
進化系鮒鮓 季節の柑橘ジュレがけは、中に吉田牧場のフレッシュチーズが。口中での、酸味のバランスのよい融合がテーマ。
製法で特許を取っている鮒鮓の飯(いい)のアイスクリームはレアチーズケーキのよう。
発酵からすみを使った鹿の発酵パイ包みは、2021年の新作で大人気に。
琵琶湖の北端、独自の生態系の余呉湖を望む日本の原風景に溶け込む宿は、周囲の山々からも多くの恵みを受けています。
徳山鮓誕生の背中を押した小泉武夫発酵博士が命名した露天風呂「望鏡亭」から見える余呉湖は、時に鏡のようで美しい!
滋賀
徳山鮓(とくやまずし)
滋賀県長浜市余呉町川並1408
☎0749-86-4045
1泊¥38,500〜(2名1室の1名料金、2食付き、宿泊は2名から) 全6室
イン15:00 アウト10:00
料理のみ 昼¥16,500、夜¥22,000
JR余呉駅から徒歩20分 送迎あり
取材・原文/本誌編集部