古道具とモダンな家具が合う客室と、独自の製法で発酵させたどぶろくと料理を体験できる宿「とおの屋 要」をご紹介します。
遠野の風土と発酵の技を融合させた唯一無二の味
国内外のシェフや料理研究家などが続々と訪れる噂のオーベルジュ「とおの屋 要」。
オーナーシェフの佐々木要太郎さんは、無農薬無肥料で米を育て、その米を原料に独自の製法で発酵させ、どぶろくを醸す醸造家でもあります。シュワシュワと発泡する生命力あふれるどぶろくは、甘酸っぱくて、洗練された味。スペインの有名レストランで、このどぶろくと料理のペアリングコースが設けられるほど。
10~12品からなる夕食のおまかせコースも独創的。通常は鮒で作る熟鮓(なれずし)を、遠野亜麻豚の挽肉を米飯とともに約1年間乳酸発酵させて作ったり。口の中で五味や風味がはじけます。
発酵の技と比類なきセンスでオリジナルに仕立てた酒と料理の数々。遠野の唯一無二の味覚を体験できる宿です。
海で獲れた特大鰻の塩焼き(写真奥)。鹿肉のわら焼き、柿の自家製「どぶ酢」と豚の熟鮓ソースあえ。無農薬無肥料で栽培した米「遠野1号」を酵母無添加で発酵させたどぶろくは、細やかに泡立ち、爽やかでメリハリの効いた味。
かぼちゃペーストイクラのせ。
豚肉の熟鮓とハナイグチ入り酒粕風味の茶碗蒸し。
アワビをベシャメルソースであえて蒸し焼きにしたミント風味のスフォルマート。
さまざまな製法で醸されたどぶろく。ラベルは長女の作品。
佐々木要太郎さん。「五感を研ぎ澄ませて生き物たちの声なき声を聞く」という姿勢で、米を育て微生物を相手に発酵の技を究めています。
築200年を経た米蔵を移築。古道具とモダンな家具が合う客室。
岩手
とおの屋 要
岩手県遠野市材木町2-17
☎0198-62-7557
1日1組限定。全3室最大6人まで。(人数により価格は異なり、1泊2食付き2人の場合、1人¥48,000〜<時価>)
イン16:00 アウト10:00
JR遠野駅から徒歩7分
撮影/長谷川 潤 取材・原文/山同敦子(酒ノンフィクション作家)