娘も早いもので25歳。いつまで一緒につきあってくれるかな?という歳ですが、大人らしい中身の充実した旅に誘い出してみました。温泉県大分の湯処「別府」での、レトロな湯巡りやら美食やらに心動かされるのは、やはり母娘で共通。大分空港からエアライナーで一本の別府北浜、そこから徒歩3分にある星野リゾートの温泉旅館「界 別府」での親子温泉旅をご紹介します。

ここは、日本を代表する建築家の一人である隈研吾さんが設計。まず広々したロビー(湯の広場)には手湯、外のテラスには足湯と到着から温泉ざんまいです。コーヒーや紅茶などを無料で楽しめる「トラベルライブラリー」、配管をモチーフにした空間で夜店やアクティビティを楽しめる「ラボ」、そして庭園を通ってダイニングや大浴場へと、建物の中はコンセプトの「ドラマティック温泉街」のように変化に富んでいます。
そして、部屋の入り口は別府の血の池地獄から着想を得たという柿渋色。引き戸を開くと目の前が別府湾のピクチャーウィンドウにあっと驚かされます。


大浴場では、熱湯(あつ湯)とほっとするゆる湯、露天風呂があります。また、別府湾を一望する露天風呂付きの部屋も。しかし、温泉湧出量・源泉数が全国一という別府に来たからには「ジモ泉」と呼ばれる共同温泉(その数なんと100ヶ所以上!)も楽しみたいところ。
今回、訪れたのは「界 別府」からもすぐ近く、レトロ感あふれる「竹瓦温泉」。明治12年(1879)創設、温泉で温められた熱い砂の中に埋もれる「砂湯」が有名で、これを体験してみたかったのです。

洗面器しかないので、ソープやシャンプー類、タオル、アメニティセットは持っていくか券売機で購入します。窓口に砂場の受付時間が表示されているので、予約を取って15分前までに待機。番号が呼ばれたら「砂場」へ。
脱衣場で砂場用の浴衣に着替えて、温かい砂の上に横たわります。すると砂かけ担当の人が、体が埋もれるまでどんどん熱い砂をかけてくれます。

体の上にのった砂は、結構重くて驚かされますが、苦しければ砂を少しどけてもらったり、手足を少し動かしたりして調整します。埋もれている時間は15分ほど。もう汗だくだくですが、老廃物も出て、後はすっきり。他では体験できないユニークな入浴でした。(砂湯 1,500円 6歳以上)
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次は「界 別府」に戻って、”ドラマティック温泉街”のアクティビティを楽しみます。夕刻には「ラボ」で、別府の泉質を教えてもらいながら温泉水にナチュラルな香りを加えて温泉ミスト作り。湯上がりのちょっとほてった時などにシュッとすると気持ちがよいミストを作れます。(無料、当日に受付にて要予約)

別府エリアは、潮流がぶつかりおいしい魚が獲れる大分・豊後水道に近いことで知られています。夕食は、そんな別府エリアならではの魚介をたっぷり使った会席料理です。お造り、豊後鍋、締めには豊後鍋の出汁をたっぷりかけた「りゅうきゅう出汁茶漬け」と魚介満喫。

食後は、焼酎屋台やスマートボールに輪投げなど、館内でお祭りのような気分で楽しんでいると、夜の9時過ぎから湯桶を楽器として使ったユニークなご当地楽「湯治ジャグバンド」が登場。石鹸箱が配られて、ゲストもカスタネットのように打ち鳴らして大盛上がり。ちょっと他にない体験は、いい思い出になりました。

朝は、地域の食材や調理法を取り入れた「ご当地朝食」がでます。海老、貝、きのこなど野菜たっぷりの海鮮汁は、熱々にごまと魚のすり身を練った「ごまだし」を溶き入れていただきます。滋味たっぷり。

社会人の娘も明日からまた仕事。いい湯と砂湯、湯治ジャグバンドと心に残る親子旅ができました。


