美しさとは〝特別な人〟だけのものではないし、〝特別な日〟のためだけのものでもない。
健やかな日々の積み重ねだけが生むものです
~書籍「十和子道」P19より~
<担当編集者からみたこの言葉の背景>
「あ、トンボ」
カメラマンの後ろに立ってアングルをチェックしていた私に十和子さんが言った。
季節は夏の終わり。
その言葉で空を見て、もう夕方なんだと気が付いた。
この日取材を始めてすでに4時間が経っていた。
十和子さんの日常をあますことなく紹介することでその美しさの秘訣を明かす……
この「十和子道」のコンセプトを守るため、毎回取材にかける時間は長い。
この日も昼の12時にはご自宅に伺い、ひたすら密着。
写真を撮り、お話を伺い、また写真を撮る。
お茶を淹れている十和子さん、キッチンの流しを掃除している十和子さん、ソファで一息つく十和子さん。
(何年も使っているとは思えないほどピカピカのキッチン。「水回りに水滴は残しません」/「十和子道」P12より)
その横に張り付くカメラマン、ライターそして私。
ふつうならかなり鬱陶しく感じ、そのうち疲れや苛立ちが自然と出てくるものだと思う。
けれど
「ほら、あそこにも飛んでる。もう秋ねぇ」
そう言って空を仰ぐ横顔は相変わらず穏やかで、季節のうつろいを感じとる健やかな心を持っている人のものだった。
美容家なので〝鏡ばかり見ている人〟とか〝鏡の中の自分にしか興味がない人〟と思っている方もいらっしゃるかもしれないが、そうではないことを知ってほしくて撮影したのが冒頭の写真である。
撮影/冨樫実和
*オールカラー、自宅で撮影、オール私服、収録写真400点
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電子版には特典としてプライベートを含む計276点の写真とコメントを特別編集した「エブリディ十和子」がついています!