うちは貧乏だったうえに、兄姉が多くて、末っ子の私はセリフもないような脇役でした。存在感ゼロで、「おまえがいてくれてよかった」なんて誰も言ってくれませんでした。
だから中学3年生のとき、単行本に初めて自分のマンガが掲載されたときには、うれしくてうれしくて、夜中にムクっと起き上がっては、枕の下から本を取り出してムフフフ~と(笑)。あのとき、初めて「私はこの世の中に生きていていいんだ」と思いました。
そのように人間は、社会に受け入れられて、初めて自分が存在していいんだと思える生き物なんですよね。だからみんな「人から良く思われたい」と頑張るわけですけれど、「それは周囲に合わせる」ということではないと思います。
自分の人生の主役はあくまで自分で、自分の好きなことをやって認められてこそ、抜群の達成感を持てると言うものです。だから周りの人からの評価は必要以上に気にしない。そして私がマンガの世界に居場所をみつけたように、自分の輝ける場所を探せばいいんです。日本が合わないと思ったら、外国へ行って伸び伸び暮らせばいいし。
私なんか社宅とかに行ったら、絶対輝けないタイプですからね(笑)。えっ、社長夫人になればいい? いや、だったら私が社長になります!!(笑)。
「天使のツラノカワ」コーラス1999年10月号扉
取材・文/佐藤裕美