まず年齢とともに変わりますよね。たいていの場合、若い頃は「愛」が一番で、若さが減ってくるとやっぱり「お金」よね、ということになり、最終的には「心の豊かさ」を求める。
ようするにカーテンの向こうからちょっと「死」が顔をのぞかせたとき、人間はこれまでの自分を省みて、いい人間になりたい、願わくば天国に行きたい、という新たな欲望が生まれるんでしょうね。そしてみんな写経に走る。アワエイジは写経エイジ(笑)。無心になってやるのがいいってことらしいですけれど、だったら無心になってゲームするのも徳が積めるんだろうかと一条は思ったりしています(笑)。
そもそも「心の豊かさ」って、本当に人それぞれだと思うんですよね。子や孫に囲まれた暮らしが幸せだと考える人もいれば、家族と一緒にいてもその家族に苦しめられる人もいます。人から見れば孤独に見えても、ひとり暮らしを豊かに生きている人もいます。
つまり何が自分を幸せにするのか、自分は何がないと不安になるのか、ということがちゃんとわかっていないと、「心の豊かさ」は手に入れられないということです。「お金」がないと、「心の豊かさ」を得られない人もいるだろうし(笑)。
まずは自分のことを正しく理解する。幸せに生きるには、それが何より大切です。
「有閑倶楽部 PART3」りぼんオリジナル1981年秋の号扉
取材・文/佐藤裕美