これはよく言われることだけど、夫や彼が浮気をしてるんじゃないかと疑ったとき、「まあ、別れてもいいや」と思えるなら、藪をつついてもオッケー。ところが「どんなことをされても別れられないの!! 好きなのー!!」という人ほど、藪をつつくんだよね(笑)。
「誰といたの!?」「いや、友達と」「友達って誰なのよ!!」と、とことん追いつめちゃって、追いつめたら追いつめるほど、 自分にとってマズい方向に話がいくという展開に。相手が同じくらいあなたのことを好きだったら、「ゴメン!!」って土下座して謝ってくれるかもしれないけど、浮気するっていうことは、そもそもあなたに飽きてきたか、二人の間にすきま風が吹いてる証拠。そんなときにガーガー言われたら、彼はうんざりして、「もういいよ」「別れようよ」と愛想をつかされてしまう場合もあります。
あなたにとって、怒りは彼への愛情表現なんだけど、あからさまな嫉妬心とか独占欲を投げつけられると、相手は脅威に感じて逃げたくなっちゃうのよね。それにやましいことが多い人ほど、逆切れするのが早いんですよ。そのリスクを賢く考えて、相手が「助かった!」「やべえ、気をつけなくちゃ」と思えるグレーゾーンを残しておくことが必要です。
白黒はっきりさせないほうがいいのは、恋愛関係だけじゃなくて、プライベートな人間関係、すべてに言えることですね。たとえば親友だと思っていた友達が、私に内緒で他の人達と遊びに行っていたと。そんなとき、「どういうこと!?」「なんで私を誘ってくれなかったの!?」なんて問い詰めたら、面倒なヤツと思われるだけ。
ただ、まったくスルーするのも癪に障るから、私だったら「じつは私は知っているのよ~」と皮肉っぽくアピールするという高度なテクを使います(笑)。「いいな~。ヒロミちゃんとフレンチ行ったんだ? いいな~。次は私もさそってねェ」と。 相手がちょっと後ろめたくなる程度に、チクリとクギを刺しておく(笑)。「そうそうそう、言おうと思ってたんだよね~」と、きっと友達は言い訳すると思うので、そうしたら許してあげましょう。
まあ、私は、その後2~3ヶ月以内に、もう1回、それを思い出させるようなことを言うけどね。「この前、あなたがヒロミちゃんと行ったフレンチのお店の名前、なんだっけ?」とか。怖い? いやいや、このくらいはやらないとね(笑)。
「夢のあとさき」りぼん1987年6月号扉
取材・文/佐藤裕美