以前、何人かでご飯を食べていたとき、お米の洗い方がわからないっていう若い女がいたのよ。「洗濯機使えばいいのかな?」って。同性からしたら「アホじゃないのコイツ」って感じだけど、「何も知らないんだね」「かわいいね」みたいな男がいたのよ。
私が「ウソ!? 結婚して、奥さんがそれだったらヤバくない!?」と言ったら、「確かにそれはイヤかも」と言っていたけど、彼女だったらいいらしい(笑)。
あきれるわよね。男が思うかわいいとバカは紙一重なんだなと思いました。
そのとき、武田鉄矢が昔、言っていたことを思い出したの。「かわいい」って言うのは、「かわいそう」とか「哀れ」からきているんだって。守ってあげなければいけない「かわいそう」なものに、いつしか愛情を感じるようになって、そこから「かわいい」という言葉が生まれたって。
なるほど、と思いました。だから男は「かわいい」女が好きなのねと。「オレが守ってやるぜ」と言いたいんでしょ?
でもそれは裏を返せば、自分が優位に立ちたいってこと。男はいつだってヒーローになりたいし、ほめられたい生き物なのよ。だから自分が強くてイケてるものであるためには、自分より弱くて、ちょっと何かしてあげたら、「すご~い!」「かっこいい~!!」ってほめてくれるような女が必要なわけだ。そういう女は、男の見栄とかプライドを満足させてくれるのであろう。
それにしても男って、なんであんなに威張りたがりなんだろ。めんどくさ~(笑)。
「ときめきのシルバー☆スター」りぼん1980年6月号付録『アリス・美里のポスト・カード』
取材・文/佐藤裕美