いますよね、「私、弱いんですぅ」っていう人。でも、本当に弱い人は、そういうことは言わないのよ。そーっと隅っこにいるだけで、弱いかどうかもわからない。「私は弱いんです」って言うのは、嫌なことを言われたくない、不愉快な思いはしたくないから、最初にそう言って防御しているだけではないかと、一条は疑っています。
「打たれ弱い」んじゃなくて、「打たれ嫌い」では!?賛美はされたい、攻撃されたくない。でも、やんわりとかまってほしいという。弱いどころか、ド厚かましい人種ではないかと(困)。
でも、けなされることは大嫌いということは、決して進歩しないという意味ですからね。延々と同じところをぐるぐる迷っていて、誰にも望まれない人間になっていくことになります~~。
あなたの長所をほめてくれることは、ちょっとは気持ち良いけど、結局は何の役にも立ちません。あなたの短所をわざわざ引っ張り出して、嫌なことを言ってくれる人が、じつはチャンスをくれてるありがたい人ですよ。「キーッ、くやしい!」「反論できない!」と思うかもしれないけれど、それは本当のことだから反論できないだけです。
「二度とこいつにこんなことを言わせたくない!!」って、そのくやしさを糧に頑張ることで、人は成長できるんですね。自分に厳しい意見を言ってくれる人が自分にとって、もっとも必要な人なんだけど、打たれ嫌いな人はそういう人を徹底的に排除するから、結局チャンスをつかめないんです。
逆に、「私、強いんです」って言っているわりに、繊細でもろい人もいます。出版社とかに多いのよ(笑)。つねに気丈にふるまってるけど、必死で涙をこらえてたら、「あっ、しまった!! 耳から涙が出ちゃった!!」みたいなタイプ(笑)。これはこれで痛々しい。まあ、「打たれ嫌い」よりはマシだけど、強がりもほどほどに。
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「砂の城」集英社文庫<コミック版>
取材・文/佐藤裕美