「女々しさ」とは、「女らしさ」とは違います。女子特有の粘着気質というか、うじうじとした感じ。要はしつこさですね(笑)。
クリエイターには、この女々しさがすごく大事なんですね。さっぱりしちゃうと、細かいところが見過ごされるというか、「ま、いっか!!」とおおざっぱになっちゃう。「これって、どうしてこうなるんだろう?」と延々と考えたり、「この人は、こう考えるかな、いや、こうかもしれない」と繊細な心の動きを想像したり、「Aならこうだけど、Bならこうだな」って、いろいろなバターンを想定したり。最後まで、うじうじとしつこく粘るから完成度の高いものができるし、「どうでもいい」と諦めないから目的を達成できるんですね。
私は自己紹介するときに、「一条はヘビのように粘着気質です」とよく言ってました(笑)。「一度でもイヤなことをされたら何年も忘れません。そしてチャンスがあったら倍返ししたいです。だから私に意地悪をするときは、気合を入れてやってください」って。おかげで誰にも意地悪されませんでした(笑)。
まあ、それは余談ですが、自分の中には、男っぽくて合理的なところと、執念深い女々しさとどっちもあるのは確かですね。仲のいい友達に言わせると、私の中には4~5人ぶんくらいのキャラクターがいて、そのときそのときで変わるらしい。だからいろんなキャラクターの登場人物が描き分けられたのかもしれないですね。
「おいしい男の作り方」集英社文庫(コミック版)
取材・文/佐藤裕美