女の場合、あちこちでいい顔すると、ぶりっ子とか言われて、同性からは間違いなく嫌われるわよね。でも、私はそれが悪いと言ってるんじゃないの。むしろモテようと愛想を振りまく女は偉いと思ってます。「男の前で態度を変える女ってイヤよねぇ」って陰口をたたく人がいるけど、「いや、その女を見習え」と思う。
だって男の前で態度を変えるのは、過去の経験から、それがモテるために有効であるとよく知ってるのよ。仕事のできる女と一緒で、うまい手段を使っているだけ。それに対して文句を言うのは、本当は自分だってモテたいのにそういうこざかしい手段がとれないから逆恨みのように文句を言ってるだけ。ようするに妬みってこと。
そもそも誰にでも同じ態度をとるなんてことは人間ありえません。子どもには、子どもがわかりやすいようにやさしい言葉で話すし、目上の人には敬語で話すし。人によって態度を変えるのが普通のこと。それと同じで、男が喜ぶ態度をとって何か悪いと言いたい。
つまり女から嫌われる女はそんな悪いことじゃないぞ、ということです。ひがみっぽい女たちには、悪口を言わせておけばいいのよ。そして嫌われたらモテてるって証拠だから、「よっしゃー!」と自分に自信をもてばいいです。が ! 嫌われるべくして正しく嫌われていることもあるので、そこのとこは間違えないようにね。
もちろん男から深く愛される女もいいと思うし、どっちが正解って話じゃない。自分に合ってるスタイルにすればいいのよ。男選びも恋愛も周囲の目を気にしすぎると幸せをつかめないですよ。
「おいしい男の作り方」マーガレット1989年12号扉
取材・文/佐藤裕美