物語では、恋愛が成就するとハッピーエンドで終わるわよね。シンデレラが王子様と結婚して「めでたし、めでたし」って。でも実際の恋愛は、ずーっとその関係性が続くわけだから、つねに過程であって「終わり」というものはないと思うの。だから「ハッピーエンド」もないのよ。
いや、結婚がひとつのゴールだから、結婚すればハッピーエンドだって言う人がいるかもしれないけれど、それも違うわよね。
だって、シンデレラを考えてみて。貧乏な家庭から王室にお嫁入りしたって、わからないことだらけで、儀式のたびに恥をかくはめに。周囲の女たちには「あの女、うまく玉の輿に乗ったわね」って妬まれて、意地悪されて、もしかしたら食事に毒なんか盛られたりしてね(恐)。毒殺は中世ヨーロッパからアジアまで、日本でも将軍様には毒見係がいたほどの、上層部では普通の事ですからね。王宮アルアルでしょう(笑)
そして…王子も1年以内にきっと浮気すると思う(笑)。最初のうちは、シンデレラのことが物珍しくて、かわいがるとは思うけど、気のきいた会話もできないから、あっという間に飽きられるはず。だって王子って妾作っても問題なさそうだしね。(それにしても妾って字、立つ女って…どういう意味だろ?)
まあそういうことで、王室で孤立無援になっても実家にも帰れないのよ。実家に居るのは意地悪な母と姉だけ!全然ハッピーじゃないですねえ。えっ、私の想像が豊かすぎる? いや、現実なんてそんなものよ。
だからハッピーエンドを夢見ないで、つねに恋愛は過程だと思って、気を抜かないようにしよう!!
「恋のめまい 愛の傷」コーラス1994年9月号扉
取材・文/佐藤裕美