「アバタもエクボ」という言葉があるように、恋愛してる時って、相手のことがとっても素敵に見えるわよね。特につき合い始めの時は!
友だちに「私の彼、竹野内豊に似てるの♪」と言われて、写真を見たら「えっ、どこが!?」みたいなことってよくあるけど、恋愛している時は特別なメガネをかけてるからキラキラと輝いてみえるし、欠点すら素敵に見える…人が多いけど、いやマジで羨ましい。
ただのマザコン男が家族を大切にする人に見えたり、気のきかない男が純粋な人に見えたりするのも特別なメガネのせいです(笑)。愛ゆえの妄想の勝利で屈折率が跳ね上がって、見えないものまで好きなように見える!まさに恋愛の醍醐味ですよ。
一条もその醍醐味に溺れたかったけど、残念ながら性格が邪魔して「アバタはアバタ」の人生です。
ヤバいのは恋愛ビジョンの威力が落ちて、ふとメガネをはずした時。「えっ、私の好きな人って、こんな人だったっけ!?」って正気に戻る時がかならず来ますよぉ(笑)。とくに女性の場合、その一瞬で、急に相手への愛が冷めたりするから残酷。あんなに好きだった人のことを急に「キモイッ」とか思ったりして(笑)。
そうなってしまうのは、相手への尊敬がないからなんですよ。尊敬は、好き嫌いの感情とは別もので、特別なメガネを使わない、人間としていつでも自分にとっては素敵に見えるポイントです。
尊敬があれば、たとえ相手の欠点が目についたとしても「でも、この人は絶対ウソをつかないな」とか、「この人は、絶対人を裏切らないな」とか、なんらかあれば、ポイ捨てはしないと思います。
執行猶予がついてる内に関係が回復することもあるし、激しい恋愛は無理でも落ち着いた、互いが居心地が良い恋愛関係に変わるかも知れないしね。
でも、どっちにしても、彼氏としてならいいけど人間としてはクズよねという男は…駄目です!
そもそも恋愛してる時って、仕事も時間も友達も忘れて、恋愛第一主義になりがちだけど、ひとたび自分が大きな病気をしたら恋愛どころじゃなくなるし、戦争が始まったりしたらデートしてる場合じゃなくなるでしょ。つまり自分がそこそこ健康だったり、世界が平和だったりするから、恋愛が第一になる訳で、本当は、恋愛より大事なことが世のなかには、あるということです。
好き嫌いの感情は大事だけど、それだけでものごとを判断してたら結局、後悔する羽目になりますよ~~~(怖)
「プライド」コーラス2005年5月号扉
取材・文/佐藤裕美