例えば恋人や夫に浮気をされて、頭にきたけど、なんとか頑張って関係を修復したとします。でも、一度壊れた愛情は、完璧には元通りにならないんですね。壊れたところ全部がぴったりとはくっつかないで、ちょっとだけ裂け目というかキズが残ってしまうんですよ。
文学的に言えば心の傷ね。
で、何かあった時、その小さな裂け目から今度は大きな亀裂が! ピキ━━ン!!
小学校の時の友だちに氷屋の娘さんがいて、遊びに行くとよく棺桶くらいのでっかい氷を切っているところを見たもんです。切る場所にノコギリでチョチョっと傷つけて、そのノコギリでポンと氷を押すと スパーンと亀裂が入って見事に真っ二つ!
あんな小さな力で、なんであんな大きな氷が切れるのかが不思議だったけど、アノ状態と似ていると思う。
で、一度浮気したことがあるその夫が、残業で帰りの遅い日が続いたとします。すると「おかしい、コイツ、また浮気してるんじゃないか?」って疑ってしまうんですよ。
反省した旦那が妻にケーキなんか買ってきたりしたら「コイツ、やましいことがあるからこんなことしてるんじゃないか?」とかね、疑いの目で見れば何でも怪しいし、大体コイツには前科がある!ってことで、裂け目がどんどん広がっていくでしょう。
だから一度こじれたカップルが再びやり直す場合、同じ理由でダメになる確率が高い。しかも!一度目より早いスピードで!!
同じ轍は踏まないと360度方向気をつけて、無難に、しっかり猫をかぶって暮らしている時はいいのよ。でもね、そんなことずっとやってると疲れるし、少しずつ気を許してきて、そのうち本性が出てくるのよねぇ。そんな時、ちょっと相手に疑いをもったり、こっちが落ち込んだりした時、傷口がばっくりと開いてしまうんです。
ほら、ケガした時、せっかくかさぶたができても、なぜか剥がしたくなったりするじゃない?そんな感じかしら(笑)。どうでもいい話だが、一条はかさぶた剥がしの魅力にどうしても逆らえなくて、せっかく治りかけているのに!グッと我慢したのに!ついついいつのまにか剥がしてしまって、がっちり身体に跡が残ってます。ああダイエットと同じだ…。
もちろん中には、危機を乗り越えて、再び強く結ばれる人たちもいると思うけれど、再出発する時は、最後まで猫をかぶり通すぞと!それなりの覚悟と諦めを忘れずに。
「夢のあとさき」りぼん1987年6月号扉
取材・文/佐藤裕美
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