かなり前、昔つきあってた彼と会ったら、「変わったな」と言われた。
角が取れて丸くなったとかなんとか言うので(※性格のことで決して体格ではない)、「あら、そう?ふふ…私も色々あってね」とかなんとか、あんたは全く成長してないわねと思いつつ大人の女の余裕をひけらかしてあげようと思った途端、カウンターパンチをくらっちまいました。
「昔はすごくとがってて、寄らば斬るぞって感じだったのになぁ…ふぅ…」えっ?あ…そ、それはもしかして「おまえもつまらない女になったなぁ」ってこと?
ってことでした…チーン🛎️
そりゃあね、若い頃は我が強く、周囲とぶつかることも多かったし、偉い人に対してもけっこう言いたい放題だったけど、私も世間の荒波にもまれまくって、すっかり角が取れてしまったらしい。さようなら、《若気の至り》 こんにちは、《大人の価値観》。
そうよね、考えてみてください。若い頃は、ワガママ放題でも「生意気な小娘」で済んだのよ。でもね、でもね、あれれ?って感じで人気が出て、年齢を重ねまくり、少女漫画家として「重鎮!!」的立場になって、そんな一条が同じことをしたらパワハラでしょ!?自分で言うのも嫌だが、そりゃあもう扱いにくい重鎮おばさんだわね。
だからですね、年をとるほどに10言いたいところを8ぐらいに我慢して、人の迷惑にならないよう極端にでしゃばらず、人に圧をかけないよう一応気をつかってきた!のよ!!
まさに「実るほど頭が下がる稲穂かな」の精神ですね。こんなふうに私って、人間ができているので仕方がない。70も過ぎたので、10のところ を5 にしますわ。
そういう私の壮絶な努力も知らず、「つまらない女」とは、よく言ったもんだ。尖ってなくても想像力は尽きないし、感性だってまだまだ磨いてるし、大人の価値観ばっちり身につけて、受けて立とうじゃないの、常識的で上等!
丸くなって上等(しつこいが体型のことではない)、と思う一条でした。
「砂の城」りぼん1978年10月号扉
取材・文/佐藤裕美
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「不倫、それは峠の茶屋に似ている
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