前回、『プライド』の史緒ちゃんの話をしたので、今回は萌ちゃんの話を。自分が史緒ちゃんタイプだと思っている人の大半は誤解だと書いたけど、自分が萌ちゃんタイプだと思っている人は、たぶん萌ちゃんタイプで間違いないと思います。
ただ、萌ちゃんの、いちばんすごいところをあなたは多分持ってない!
それは欲しいものがあったら、最後までくらいついて離さない、 すっぽんのようなド根性ですね。たいていの人は、老人の吐しゃ物を両手で受け止めたり、あそこまではできないでしょ? 私だったら間違いなく、華麗に避けるつもりがビックリして、避けそこないそうで想像したくない!
萌ちゃんは、卑怯なことばかりして栄光を掴んでると思ってるだろうけど、実は90パーセント以上は努力してるのよ。でもね、努力しても努力しても掴めないモノがあるのよ。
彼女は史緒ちゃんが当たり前のように持っているモノを持っていない。それでも戦わなければ先に進めない時、残りの10パーセントくらいで策略をめぐらせたり心を揺さぶる手に出るのよね。ズルしてるように見えるけど、アマチュアなら問題だとしてもプロならその位はアリだと思う。道徳観ではダメでも法的には多分犯罪ではないんじゃないかな。う〜ん…ちょっと脅迫っぽいこともやったけど。私が言いたいのは、萌ちゃんも人の倍は努力してるってこと。
でもね、たいていの人は、欲しいものを手に入れるためにそれほど努力をしてないんじゃないかと思います。間違った方向で努力とか、それはアカンだろうという努力とか、隙あらばローリスク・ハイリターンを妄想し、ちょっとかわいくしてたり、気があるふりをしたら、誰かがくれるかもと媚びたり、ラクして手に入れようとショートカットすることばかり考えてる。
そして萌ちゃんのずる賢い部分だけを見て、勝手にシンパシーを感じてる人もいるだろうけど、まずは!基礎の部分でしっかり実力を身につけながら、それでも足りないところを姑息な手を使ったりしてみよう!って、いやいやいや、ずる賢そうに見えて、じつは萌ちゃんは本人なりにものすごくまっとうに努力して、そこに行こうとしておりました!!
ということで、たいていの人は、史緒ちゃんでもなく、萌ちゃんでもない日和見タイプの普通の日本女性ってことで、ちょっと物足りないかもしれないけどね、ふつーがいちばん楽ですよ。
「プライド」
取材・文/佐藤裕美
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