漫画にもよく登場させたけど、これまで4匹の犬を飼いました。
最初がコリーの蘭丸だけど、わずか八ヶ月で先代は事故死。その後飼ったのが二代目蘭丸です。
蘭丸はけっこうハンサムで賢いんだけどちょっとメンヘラで、いつも褒めてもらわないと自信を無くすらしく、「俺のこと好きだよね? 好きだよね? 絶対好きだよね!?」っていう嫉妬深い女みたいな性格(笑)。
で、褒めるとつけあがる幼稚園男子でした。
たとえば締め切りが近くなると、みんなテンパッて、なかなか蘭丸をかまってあげられない。そうすると心が病むらしく、下痢便を仕事場に垂れ流すのよ~~‼
それでアシスタントさんにも「『蘭ちゃん、今日もかわいいね』って、できるだけ蘭ちゃんに声をかけてあげて」ってお願いしてた(笑)。「アンタは優秀なんだから、もっと自分に自信を持って!」って感じ。パートナーとして寄り添う犬としては最高の犬だったけど、はっきり言ってウザさはナンバー1!!
蘭丸が年をとった頃に家に来たのがシベリアンハスキーの藤丸。私、『動物のお医者さん』のチョビが大好きで、チョビにそっくりだったのでうっかり即決しちゃったんだよね。それで、最初に抱き上げた時、うれションした。
コレはもしかして頭がよろしくないのではと思ったけど…頭だけじゃなく素行も悪かった(笑)。
だって老いて動けなくなった蘭丸にかみついて、ネチネチ嫌がらせをするのよ。強きを助け弱きをくじく、はっきり言ってクズ野郎ね。で、私が藤丸を叱ると、優等生タイプの蘭丸は藤丸をかばうのよ~~!
ナンパの時だけ先輩に呼び出される、顔だけが自慢のチンピラ気質のヤツでした。あっ、運動神経は抜群で逃げ足は早かったな。
で、最後に飼ったのがバーニーズマウンテンドッグの歳三。もちろん名前は土方歳三からとりました。歳三は「動くぬいぐるみ」と言われるほどかわいくて、セントバーナードの赤ちゃんがそのまま大人になった感じでしたね。
誰かが《かわいい》って言ったら、《呼んだか?》って振り返る奴で、かわいい≒自分だと思ってたみたい。俺が一番愛されて当たり前という自信家で、目の前で他の犬を触ってもヤキモチもやかない。余裕の王様気質(笑)。
犬は飼い主に合わせるもんだと思っていたけど、歳三は見事なマイペースでちょっとチャウチャウと性格が似てて猫臭い。動きがトロくて丸くてどんくさいのって、人間ならアレでも動物ならかわいい。痩せてるパンダって可愛くないもんね。
四本脚全部が空中に浮いているのを見た記憶が無いし、実にアッサリとした性格で、悪さもしないしダメと言ったらイラッとしながらすぐ諦めるから叱ることもない。全てにおいて粘着気質の蘭丸とは正反対でした。
考えるに犬って、賢くなればなるほど悪さを誤魔化したり余計なことを考えたりして面倒なので(蘭丸がいい例)、悪さをしないちょっとだけおバカな子が飼うにはいちばん楽だわね。まあそれにしてもペットとして「無害でかわいい」って、どれだけ無敵かということを教わりましたよ。
こうして書いてみると、私の好きな犬って、パターンが皆同じだな。
大型犬で黒、茶、白のトライカラーで、お公家さんのような麻呂眉。
あの眉が上がったり下がったりして、感情が丸分かりで面白いのよね。
模様が似ている3種類の犬、合わせて4匹飼いました。どいつもクセが強くて変な奴らだったけど、やっぱり可愛かった!

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取材・文/佐藤裕美
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