気持ちよく暮らす「生活のしきたり」
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
このパート【おいしく正しく食べるための「習慣」】では、食べ物をしっかり、そして楽しく食べることに関するしきたり22~43をご紹介します。
今回は、しきたり34:和食の基本を知っておこう、についてです。
●おいしく正しく食べるための「習慣」●
四季があることは、食材にも四季があるということ。四季は身体にも影響があり、身体をスムーズに動かすためにも、四季に合った食べ物を取り入れることが必要です。
食べられればなんでもいいのではなく、四季に合わせた食べ方、食材の選び方を考えましょう。
おいしく、楽しく食べることも大切です。姿勢、 箸の持ち方、食べる順序なども、昔から伝えられた習慣です。これらを守ってこそ、おいしく、そして楽しくいただくことができるのです。
生きること=食べることともいえるわけですから、シッカリ、キチンと選んで、最後まで残さず食べる、これは、なにより大切な家庭のしきたりとしなければならないでしょう。
しきたり34
和食の基本を知っておこう
以前、ドイツはハンブルグにホームスティをしました。これまでのドイツでは、どの家庭でも料理がおいしかったので、絶対ドイツ婦人は、料理上手と思い込んでいました。ところが、出された料理はパッキングされた市販の総菜ばかりでした。「彼女は料理が好きじゃないからなのだ」とあとで推測したのでしたが。
私も食べるほうは好きですが、作るのは苦手ですから、ホームスティしながら、おおいに反省したことでした。そこで、どこに行っても大切なのは、料理の基本を知っていること。知っていれば味はアレンジできても、手順が違うと、うまくでき上がらないからです。基本の料理はぜひ知っておきたいと思ったものです。
●煮物 煮物は、野菜、魚、豆、肉などを取り合わせ、だし汁と調味料と一緒に加熱した料理です。煮物に使う鍋は小さいものより大きめで、火当たり柔らかい厚手が適しています。火加減は、煮立つまでは強火で、あとは沸騰が続く程度の中火。煮くずれさせない注意を。調味は、砂糖、塩、しょうゆで、必ず食材が柔らかくなってから入れることです。かぼちゃやさつまいもは、最初から調味料を全部入れて煮ると、綺麗に仕上がります。魚は煮汁が煮立ったところに入れると、生臭くなりません。
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●揚げる 揚げ物の代表、天ぷらをするには衣作りがポイントです。衣の割合は、卵と冷水で1カップ、そこに小麦粉(薄力粉)1カップです。まず卵はよくほぐし、冷水を入れてのばします。そこに、ふるった小麦粉を入れ、さっくりと混ぜ合わせます。決して粘りが出ないようにします。準備しておいた食材につけてすぐに揚げます。食材はすべて水分をよく拭き取ります。水分がついていると、衣がはがれやすくなります。海老や烏賊などは、小麦粉をつけてから、衣をつけて揚げるようにするとよいでしょう。
●酢の物 暑いときにサッパリした味が楽しめます。酢と調味料の割合で決まります。
二杯酢 酢としょうゆ(1:1)
三杯酢 酢と砂糖としょうゆ(1: 0.3: 0.2)
甘酢 酢と砂糖と塩(1: 0.3:少々)
胡麻酢 よくすったごまと三杯酢(酢・砂糖・しょうゆ)(1: 0.5)
この分量さえしっかりおぼえておけば、酢の物はすぐに作れます。
●和え物 和え衣と食材の調和が大切な料理です。衣のなめらかさが必要です。味噌が必要なときは白みそがよく合います。
特に、白和えは豆腐がベースで、練り胡麻と一緒にしたコクのある和え物です。白ごま大さじ1杯、ゆでて水きりした豆腐1/4丁、砂糖大さじ1|2杯、塩・みりんが割合です。食材は、こんにゃく、にんじん、ひじきなど薄味で煮て和えます。加熱したものは、十分冷ましてから、水分の多いものはよく絞ってから和えます。和えてから時間がたつと、水分が出ますので、食べる直前に和えることです。
次回は、しきたり35:持ち寄りパーティは、気取らず気張らず自分流にする、についてご紹介します。