気持ちよく暮らす「生活のしきたり」
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
このパート【おいしく正しく食べるための「習慣」】では、食べ物をしっかり、そして楽しく食べることに関するしきたり22~43をご紹介します。
今回は、しきたり43:食事は子どもに妥協せず、大人のメニューも盛りつけや味で工夫する、についてです。
●おいしく正しく食べるための「習慣」●
四季があることは、食材にも四季があるということです。四季は身体にも影響があり、身体をスムーズに動かすためにも、四季に合わせた食べ物を身体に取り入れることが必要です。
食べられればなんでもいいのではなく、四季に合わせた食べ方、取り入れ方を考えなければなりません。食べ物に困らないからこそ、食べ方、食材の選び方が大切になっているのです。
食べ物をおいしく、楽しく食べることも大切です。姿勢、箸の持ち方、食べる順序なども、昔から伝えられた習慣です。これらを守ってこそ、おいしく、そして楽しくいただくことができるのです。
しきたり43
食事は子どもに妥協せず、
大人のメニューも盛りつけや味で工夫する
毎日の食事では、家族の年齢もバラバラですから、たいていは子どもの食内容に合わせて食事作りをするのが普通です。例えば、カレーライス、ハンバーグ、スパゲッティといった内容です。
毎日のレシピが子ども中心となると、親は子どもに合わせなければならず、大人のレシピ、白和え、うどの酢味噌和えなどを食べるチャンスがなかなか巡ってきません。
ちょっと昔は、子どもが大人の食内容に合わせていました。だから子どもは酢味噌、酢の物などが食べられなかったものです。大人になり、ようやく食べられるようになり、こんなにおいしいものだったのか、と思った方もいるのではないでしょうか。それは、大人になっておいしさがわかったことの喜びでもあったのです。常に子どもに合わせていると、子どもは大人の味への興味、好奇心、体験したい気持ちなどが芽生えないことにもなりかねません。
子どもレシピばかりに妥協するのではなく、食事はバランスよく、食材を中心にして、子どもでも興味がわき、食べられる大人のレシピ内容にするほうが、家族の身体づくりのためでもあるのではないのでしょうか。
どうしても子どもに妥協するという場合には、面倒でも家族別盛りつけとして配膳していくのもよい方法です。一緒に盛りつけると、どちらかのレシピになりがちですから、一人ずつ盛りつけて、内容も似通ってはいるけれど、少しずつ違う内容にすることです。例えば、ほうれん草でも、大人はお浸しでトッピングにじゃこ、子どもへはハムを加えてマヨネーズで和えるなどにして、一人ずつ盛りつける、といったようにすることです。食は内容次第といったことを家庭で守るようにしていきたいものです。
次回からは、「上手なおつきあいのための『心得』」についてのしきたりをご紹介していきます。