気持ちよく暮らす「生活のしきたり」
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
このパート【上手なおつきあいのための「心得」】では、心地よいつきあいに関するしきたり44~61をご紹介します。
今回は、しきたり48:人を紹介するには、両者の長所・短所をよく知ったうえで責任をもってする、についてです。
●上手なおつきあいのための「心得」●
家族、友人、恋人、親戚、子ども同士、仕事など、人と人とのコミュニケーション=つきあいほど難しいことはありません。電車の中で肩が触れた、触れないの言い争いから喧嘩となり、重傷を負ってしまった、近所のピアノの音がうるさいと、近所づきあいが疎遠になってしまったなど、つきあいはときとして争い事にもなり、そのために人を傷つけてしまうことだって起こりかねません。
我慢すべきときは我慢、言うべきときは言う、そして、かかわりのないときにはかかわらない、といったように、つきあいにはほどよい距離感を保つことが欠かせません。すべて自分の価値観と同じと思うのではなく、人には人の考え、思い、思惑などがあり、無理してつきあっても決してうまくいくとは限らないのです。
つきあいをうまくするには、まず自分の性格、家族の性質などを十分に把握して、欠点をわきまえておくことが大切です。それがわかれば無理することがなく、背伸びすることもない、身の丈に合った、心地よいつきあいができるに違いありません。
しきたり48
人を紹介するには、両者の長所・短所を
よく知ったうえで責任をもってする
前のことになりますが、仕事の関係で知りあいを会社に紹介することになりました。人を紹介する間に立つということは、広い意味でのおつきあいになりますので、双方とのおつきあいの状態によるところが大きいようです。
両者を紹介する立場ですから、紹介する人のことも、また、紹介される会社のことも両方ともよく知ったおつきあいがなければ、こうした紹介はかなり難しいと気づきました。
単純につきあっているというだけでは、紹介の責任を果たせない、ということです。紹介するというのは、間に立つものが持たなければならない責任があるからだと思うのです。それは、人となり、会社なりだけではない、その人の短所、会社としてダメなところなどをも含め、すべて両者に紹介する責任なのです。
つきあいとは、よいところだけのつきあいで終わるわけではなく、短所も知ったうえでのつきあいが紹介するには必要なことですから、単純に知っている程度で紹介をしてはならないのだと思います。
それを私は勘違いしたために、紹介はうまくゆかず、双方に失望を与えてしまったのは、とても失敗でした。同じようなことは、人と人との紹介でもいえるわけです。
若い方との気軽なつきあいで、紹介してほしいと頼まれ、これも気軽に引き受けはしましたが、いざ紹介するときになり、一方の気持ちをハッキリ確かめたわけでもなく、また好みを聞いたわけでもなく、なんとなく紹介してしまったことがあります。紹介されたほうの気持ちが固まっておらず、ただ頼んだほうにも失望を招いただけでしたから、おおいに反省したのです。
つきあいでも、自分にかかわるつきあいは、責任や失敗は自分に振りかかってきますが、第三者がかかわるつきあいは、さまざまな影響がいろいろなところに及ぶだけに難しいことです。どれだけつきあっていても、人の気持ちは計り知れないものですから、まわりに影響が出るようなつきあいは慎重のうえにも慎重を期するようにします。
次回は、しきたり49:病気見舞いをするときは、病状をわきまえる、についてご紹介します。