気持ちよく暮らす「生活のしきたり」
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
このパート【上手なおつきあいのための「心得」】では、心地よいつきあいに関するしきたり44~61をご紹介します。
今回は、しきたり49:病気見舞いをするときは、病状をわきまえた身だしなみや服装、手みやげ、滞在時間など、相手の心をよく思いやる、についてです。
●上手なおつきあいのための「心得」●
家族、友人、恋人、親戚、子ども同士、仕事など、人と人とのコミュニケーション=つきあいほど難しいことはありません。電車の中で肩が触れた、触れないの言い争いから喧嘩となり、重傷を負ってしまった、近所のピアノの音がうるさいと、近所づきあいが疎遠になってしまったなど、つきあいはときとして争い事にもなり、そのために人を傷つけてしまうことだって起こりかねません。
我慢すべきときは我慢、言うべきときは言う、そして、かかわりのないときにはかかわらない、といったように、つきあいにはほどよい距離感を保つことが欠かせません。すべて自分の価値観と同じと思うのではなく、人には人の考え、思い、思惑などがあり、無理してつきあっても決してうまくいくとは限らないのです。
つきあいをうまくするには、まず自分の性格、家族の性質などを十分に把握して、欠点をわきまえておくことが大切です。それがわかれば無理することがなく、背伸びすることもない、身の丈に合った、心地よいつきあいができるに違いありません。
しきたり49
病気見舞いをするときは、病状をわきまえた
身だしなみや服装、手みやげ、滞在時間など、
相手の心をよく思いやる
友人が病気になったとき、どのような見舞い方をすればよいか迷うことはありませんか。例えば、盲腸で手術入院をしたときでも、状態によっては見舞わなくてもよいことがあります。最近の盲腸手術は短時間で済むので見舞う必要はありませんし、見舞われても、かえって迷惑です。でも悪化させてしまい長期入院となったときには、見舞ったほうが友人にとっても心強いかもしれません。
考えなければならないのは、深刻な病気の場合です。基本としては、病人を励ましてあげることです。訪ねるというかたちでなくとも、手紙、葉書、宅配便などでの励ましのかたちがあることも忘れたくありません。
訪れるときには、ルールを守ること。見舞うのは病院であることをわきまえます。病気で苦しんでいる人が大勢いるのですから、にぎやかに見舞ったり、大声で話したり、長い時間居続けたり、また、ふさわしくない匂いを身に纏っていったり、衣類も目にあまったりしては、病人だけではなく、看護をしている家族の方を疲れさせてしまいます。これでは、励ますどころか、見舞ってくれないほうがよかったということに。
訪ねる時間ですが、病人に気をつかい、食事時間をはずし、面会時間内が普通です。面会の時間も30分ほどを一応の目安にしたいものです。病人の希望で長くなることもありますが、病気の状況で考えることです。術後すぐとか、術後も安定期になったとか、あるいは退院間近などの状態により、滞在時間も変化させたほうがよい場合もありますので、決めるのは病人の様子によってにします。
さて、一番気になるのが、何を見舞いに持参するかです。病気にもよりますが、一般的なのは切り花や食べ物などです。これも、病気によっては迷惑なこともあります。相手の状態により違いもありますが、私がこれまででよかったと言われたものは、珍しい花、雑誌や本、パズル、写真集などでした。また、迷ったときには、見舞い包み(現金など)でもよいと思います。
見舞いは病人を励ますことでもあるのですが、話す内容にも気をつかったほうがよいときがあります。根治の難しい病気のときに、本人が話すとはいえ、励ましすぎない、細かい病気の話しは慎む、深く追求しない、病状を詮索しないなど、気をつけて話しをします。
病人を訪ねたとき、状況がよければ病院のレストラン、あるいは庭などに行って、気張らしをするのも見舞いのひとつの方法です。それと、手紙や葉書で近況や季節、木々や花のことなどを定期的に届ける、宅配便でお楽しみ袋のようにマンガやパズルやトランプなどを送るのも見舞いです。
病気見舞いは自分流でいいのですが、基本は相手を思いやる心が大切であることを忘れないようにしたいものです。
次回は、しきたり50:新居に招くのは入居から1〜2カ月がベストで、招く方の顔ぶれや親しさで時間やもてなす内容を決める、についてご紹介します。