気持ちよく暮らす「生活のしきたり」
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
このパート【上手なおつきあいのための「心得」】では、心地よいつきあいに関するしきたり44~61をご紹介します。
今回は、しきたり51:結婚式の出欠の返事は早いほうがよく、出産祝いは出産の疲労をとってあげられるものを、についてです。
●上手なおつきあいのための「心得」●
家族、友人、恋人、親戚、子ども同士、仕事など、人と人とのコミュニケーション=つきあいほど難しいことはありません。電車の中で肩が触れた、触れないの言い争いから喧嘩となり、重傷を負ってしまった、近所のピアノの音がうるさいと、近所づきあいが疎遠になってしまったなど、つきあいはときとして争い事にもなり、そのために人を傷つけてしまうことだって起こりかねません。
我慢すべきときは我慢、言うべきときは言う、そして、かかわりのないときにはかかわらない、といったように、つきあいにはほどよい距離感を保つことが欠かせません。すべて自分の価値観と同じと思うのではなく、人には人の考え、思い、思惑などがあり、無理してつきあっても決してうまくいくとは限らないのです。
つきあいをうまくするには、まず自分の性格、家族の性質などを十分に把握して、欠点をわきまえておくことが大切です。それがわかれば無理することがなく、背伸びすることもない、身の丈に合った、心地よいつきあいができるに違いありません。
しきたり51
結婚式の出欠の返事は早いほうがよく、
出産祝いは出産の疲労をとってあげられるものを
我が家で親戚の結婚式ラッシュの年がありました。といっても、夏二回、秋二回の四回だけですが。四回でも、いろいろと出費がありましたから、これが適齢期の友人同士となると、給料丸々出費となるのではないでしょうか。聞くところによれば、友人の披露宴出席でお祝い金が3万円だそうで、親戚ともなると、倍以上の祝いを、と聞き、知らない間にこんなにも大変なことになっていた、と驚きが先になり、「おめでとう!」を忘れてしまうほどでした。
昔を振り返ってみると、友人の結婚には、式の前に未来の夫になる人と一緒に食事をし、その場で新家庭で欲しいモノを上げてもらい、一緒に見にいき祝いとしたものでした。例えば北欧のホウロウ鍋、主婦アイディアのステンレスやかん、二人用の折りたたみ式テーブルなど。でも、一番喜ばれたのは、遠く鹿児島で結婚式を挙げた友人の披露宴に出席したときでした。鹿児島ではあまりに遠く、出席者がないと聞いていたので、彼女を祝ってあげたい一心で駆けつけました。これがなによりの祝いだったようです。いまでは、もっと遠いハワイやグアムで式を挙げる人たちが多くなっていると聞いていますが、親戚でも行けない人もいるのでは?
これからの人生を承認し、みんなに祝ってもらうための宴、これが式であり披露宴であるなら、出席して祝うのが一番です。
かつての村のつきあいでは、吉凶それぞれに、親類縁者が米や酒を持ち寄り、ともに喜びや悲しみを分かち合うために飲食するかたちがあったそうです。この名残が、式や披露宴の費用を分担する意味で祝い金包みとなったといわれます。
いまでも友人なら3万円といわれているのは、こんな名残がまだまだ続いているのかもしれません。いまは結婚祝いの気持ちを表すのも、自分流でいいのでは、と思います。祝い包みであれば、我が家で金額の決まりを作るのもひとつの方法ですし、祝い品であれば欲しいモノを聞くのもいいことです。まずは祝う気持ちに添ってお祝いをすることです。
また、披露宴の案内状が送られてきたら、おめでとうの言葉とともに、早めに出欠の返事を出します。準備の都合があることですから、できるだけ早めに出しても差し支えはありません。遅くなるより受け取るほうはありがたいことです。
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出産祝いについても同じことがいえます。赤ちゃんの誕生は、家族はもちろんのこと、友人づきあいとしてもおめでたいことですから、祝ってあげるようにしたいものです。出産直後では外出もままならないでしょうから、3〜4カ月してから、赤ちゃんのご対面を兼ねて、料理を一品持ち寄って訪問したり、あるいは、近所でのランチの集まりをしてもいいのでは。そんなとき、みんなでお祝いの品を考えます。衣類などについては十分に足りているでしょうから、ベビーカーやベビーベッドなど、ちょっと値の張る品をみんなで贈るのはいかがでしょう。
あるいは、出産では疲れたでしょうが、これからの子育てはもっと疲れるかもしれませんから、十分英気を養うために、ひと段落後、温泉への旅やコンサートのチケットなど、母親へ息抜きの祝いを贈るというのはどうでしょうか。
出産祝いをあげるのは、赤ちゃんが大きくなってからではあまり意味がありませんから、早めのほうがいいのです。遅くなっても、そのときの気持ちを託して祝いにするといいでしょう。
次回は、しきたり52:就職したら経済的に、社会的に、精神的に、市民的にしっかり自立させよう、についてご紹介します。