気持ちよく暮らす「生活のしきたり」/66:相談されるときは、すでに出している結論を聞いてほしいだけだと思って受ける
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介しています。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
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このパート【意思疎通をなめらかにする言葉遣いの「心がけ」】では、お互いの気持ちを通わせる言葉についてのしきたり62~67をご紹介します。
今回は、しきたり66:相談されるときは、すでに出している結論を聞いてほしいだけだと思って受ける、についてです。
●意思疎通をなめらかにする言葉遣いの「心がけ」●
言葉はすぐに相手に伝わるコミュニケーション。話し方のトーンひとつで、相手の気持ちがわかることも。メール通信ばかりで、話しもしない人が増えているようですが、言葉はお互いの意志を通わせる最も手軽な手段。言葉で意思疎通をはかることは、より積極的に相手を理解する方法のひとつです。
しきたり66
相談されるときは、
すでに出している結論を聞いてほしいだけだと思って受ける
相談事を持ちかける人は、それは相談ではなく、自分で決めたことをほんの少し聞いてほしいだけなのだ、と私はいつも感じています。人に相談するようなことを、人はそうそう簡単に他人には打ち明けたりしない、と思うからです。
私自身、相談したいと思ったことはすでに結論を出していて、その結論をどう思うか、他人の意見を聞きたいと思っている自分に気がつくときがあるからです。たぶん人も同じではないかと思うのです。
海外にいる友人から、日本に商品を輸出したい、ついては受け入れの資格と販売などを手伝ってほしいと相談され、おっちょこちょいの私は深く考えもせずに、資格だけを取ろうとさっそく手続きの準備に取りかかり、途中まで進めました。ところが、何カ月たっても資格取得に必要な書類がこないどころか、輸出したいと言っていたにもかかわらず、輸出商品の予定、数量、販売先などについての連絡がなんにもありません。これは、友人だけが日本に輸出したいと決めていたことで、友人の仕事仲間たちは、すでに輸出を断念することを判断していたのではないか。その判断について私に相談したかったのでは。
この相談からしても、すでに結論は出ていたのでは、ということがわかります。相談とは、実は相談ではなく、結論を聞いてほしかっただけのことではないかと思うのです。人は相談したいと言いながら、話しを聞いてほしいだけ、そう思ったほうが、聞くほうは気が楽になるのではないかとも思います。
また、相談を受けるときにも、そんな気持ちで受けているほうが、話しは聞きやすいのではないかと思います。
真剣に聞く、アドバイスするとしても、最後に決めるのは本人ですから、あれこれ口を出すのはやめることにしました。
次回かは、しきたり67:自分の役割や責任を果たすために、ハッキリと話す、についてご紹介します。