気持ちよく暮らす「生活のしきたり」/しきたり67:自分の役割や責任を果たしてこそ、ハッキリと話せる
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介しています。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
このパート【意思疎通をなめらかにする言葉遣いの「心がけ」】では、お互いの気持ちを通わせる言葉についてのしきたり62~67をご紹介します。
今回は、しきたり67:自分の役割や責任を果たしこそ、ハッキリと話せる、についてです。
●意思疎通をなめらかにする言葉遣いの「心がけ」●
言葉はすぐに相手に伝わるコミュニケーション。話し方のトーンひとつで、相手の気持ちがわかることも。メール通信が盛んになり、話しもせず、言葉もつかわないといった人が増えているようですが、言葉はお互いの意志を通わせる、最も手軽な手段であるはず。
しきたり67
自分の役割や責任を果たしてこそ、ハッキリと話せる
「病気の母が一人なので」「世話しなければならない父がいるので」「子どもがまだ小さいので」などと、人は断るのに理由がいろいろあるものだな、とつくづく思います。これは、私の住んでいる集合住宅の管理組合の理事選出のときのことです。
管理組合の理事の仕事はとても面倒で、細かく、それにしては批判ばかりが多い、とても民主的とはいえない役割です。しかし、自分が住んでいるところを少しでも快適にしたいと願うのは誰しも同じはずなのに、断り上手はお役ご免が許され、義務を果たすことに無関心な人が多いのは、私の住宅だけなのでしょうか。
自分の役割も満足に果たさない人が、逃げの口実だけハッキリと言うのは、断り上手だとは思えないのです。
面倒で人がやりたがらない役割でもきちんと引き受け、陰日向なく人との連携をうまくして、多くの人の意見を取り入れながら、ことをスムーズに運ぶ、これがハッキリと意見を言う、ということです。
口先だけで言い逃れて、責任は放棄しているのに、権利だけを主張することに頑張る人が多すぎます。せっかく決めて実行された大規模修繕でも、実行後になって「あそこが手落ちだった」「安くしたから工事がおかしかった」などと責任は果たさなかったのに言いたい放題。それならなぜ話すべきときにハッキリと話さなかったのか。ハッキリと話すには責任を持つこと。責任も果たさず、権利と義務を守る役割も無視し、言いたいことだけを言う、というのはどういうことでしょう。
これはこの住宅に限ったことではないようです。人がハッキリさせたいのは、自分の言い分だけのようです。でも言い分を通すためには、責任、義務を果たすことが必要なのですが、どうも煩わしいことはみんな嫌いなようです。それなら言い分も通らない、ということを肝に銘じておくべきでしょう。
次回からは、●気持ちを伝えるための「心づもり」●についてのしきたりをご紹介していきます。