気持ちよく暮らす「生活のしきたり」
しきたり83 年賀状は自分なりの知恵で工夫する
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
今回は、しきたり83:いいおつきあいのため、年賀状は自分なりの知恵で工夫する、についてです。
●気持ちを伝えるための「心づもり」●
相手に自分の気持ちを伝えるには、電話、携帯、パソコンなど現代の機器がいろいろありますが、昔ながらの手紙、葉書なども、忘れたくないものです。
電話や携帯での会話は、相手を拘束しがちです。紙に書くだけの手紙や葉書なら、いつ、どこでも、相手の好きな時間に読んでもらえます。
現代のメールにも通じる、古くから使い慣れた手紙や葉書を見直してみたいと思います。
しきたり83
いいおつきあいのため、
年賀状は自分なりの知恵で工夫する
年賀とは、新年における訪問のことで、本来は一家一族間の儀礼だったそうです。親元や本家に集まって先祖の霊を祭り、親を祝福する儀礼だったといわれます。武家社会では元旦を参賀の日と決めました。次第にその範囲は広げられ、現代では、友人、知人、知己にまで年始の習慣が広がり、さらには一度しか会ったことのない人にまで挨拶の葉書、年賀状を出す習慣となっています。
本来の親や先祖を祝福する儀礼だったということを拡大解釈していき、年賀状についても、その範囲は、家族・親戚、先輩、また少し広げて、遠方にいる友人まであることがわかると思います。
本来は、年始が明けると、すぐに年始挨拶ができる人や社内の人、挨拶まわりをする得意先などへの年賀状は、必要ないということでしょう。
それというのも、年賀状をめぐるつきあいのこじれが意外と多いからです。つきあいの気持ちを伝えるひとつの方法が年賀状ではあるのですが、これだけのために、つきあいがこじれたのでは大変です。
それは友人の話です。年始明けに挨拶できる知りあいに、年賀状を出したのですが、うっかりと相手の名前を間違ってしまいました。受け取った相手は腹を立て、これまでのつきあいに亀裂が入り、こじれてしまったのです。
年賀状本来の意味をとらえ、そこに自分の知恵をプラスして、自分なりの年賀状とする工夫を持ちたいものです。
印刷だけでひと言の添えもない年賀状、一斉に一日に配達される年賀状、十二月になると決まって届く年賀欠礼状などは、年賀の「気持ち」が遠いように感じられます。もう少しゆっくりと、年明けに「本年もおつきあいをよろしく」の挨拶をしたためた年賀状を出してもいいと思っています。
次回は、最終回しきたり84:寒中見舞いの葉書は立春までに出そう、についてご紹介します。