気持ちよく暮らす「生活のしきたり」/お礼状もお詫び状も、すばやく出す
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあいのための、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
各テーマごとに全部で84の「しきたり」を、生活研究家の阿部絢子さんが教えてくださります。
このパート【気持ちを伝えるための「心づもり」】では、相手に自分の気持ちを伝えるさいのしきたり78~84をご紹介します。
今回は、しきたり80:お礼状もお詫び状も、すばやく出す、です。
●気持ちを伝えるための「心づもり」●
相手に自分の気持ちを伝えるには、電話、携帯、パソコンなど現代の機器がいろいろありますが、昔ながらの手紙、葉書なども、忘れたくないものです。
電話や携帯での会話は、相手を拘束しがちですが、紙に書くだけの手紙や葉書なら、いつ、どこでも、相手の好きな時間に読んでもらえます。同じようにメールも相手に伝える、現代機器を使った手紙や葉書というわけです。
ここはひとつ、現代のメールにも通じる、古くから使い慣れた手紙や葉書を見直してみたいと思います。
しきたり80
お礼状もお詫び状も、すばやく出す
お礼状は早めに書くのがよい、といわれます。でもなかなか書けないときがあります。例えば、海外ホームスティのあとの礼状です。率直に書けばいいのでしょうが、英語なので構えてしまい、なんだかバタバタと落ち着かない、写真を添えなければならない、お礼の気持ちの表現をあれこれ考えてしまうなど、どうしても腰が重たくなってしまいます。相手には本当に失礼だとわかっているのですが、次第に自分に嫌気さえおぼえてきます。
お礼を早めに言うには、構えるより素直にとはわかっていますが、礼状となると、書きづらいのが本音です。それで、海外への礼状も葉書やカードにするようにしました。これなら、分量的にささっと書けるので、私にとっては一番使い勝手がいいようです。
こんなふうに、自分の気持ちを伝える便りの手だてを見つけると、便りを出すための葉書やカードを探すことも楽しくなり、次第に書くことへの興味もわき、だんだんと便りそのものが楽しくなってきますから不思議です。
これが習慣になり、いつでも便りができるように、礼状も難なく書けるようになると嬉しいと思ってます。要は、自分が気持ちをいかに表したいか、これなのです。気持ちが先であって、かたちは二の次。でも、相手の手元に残ると思うとつい……なのですが、そんなことより気持ちを伝えるのが先です。
お詫び状も、いち早くが鉄則です。
先日お詫び状をいただきました。仕事関係の方からいただいた詫び状でしたが、とても率直で、気持ちがよく伝わってきました。詫びられて気分がよかったというのも、おかしなことですが、実際にいい手紙でした。くどくどしいことがなく、あっさりと、それでいて力が足りなかったと詫びてありました。久しぶりに気持ちのいい詫び状に出会いました。
お詫び状は、自分の否を恥じて、詫びるのですが、なぜか否を認めていない内容になっていることが多く、言訳がましい、くどくどとしたものが多いようです。仕事関係であっても、個人関係であっても、いずれにしても否があったわけですから、すっと詫びればいいものを、どうしても否を拒む姿勢が見受けられるようです。それは会社から個人への詫び状に見られるようです。私が受け取った会社からの詫び状のように、心地よい詫び状をなかなか受け取れないのは、会社という枠にはめられ、詫びができないからでしょうか。誰に対しても、否の行為を与えたときには、素直にすまない、申し訳がないという気持ちが起こるはずです。それを正直に詫びるだけです。
詫びるのですから、いち早くです。