気持ちよく暮らす「生活のしきたり」
しきたり73:気持ちよく公園を使うためのルールを守る
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!全部で84の「しきたり」を生活研究家の阿部絢子さんが教えてくださります。
このパート【気持ちよい暮らしをするための、社会生活の「決まり」】では、暮らしを快適にするためのしきたり68~77をご紹介します。
●気持ちよい暮らしをするための、社会生活の「決まり」●
社会には、気持ちよく、暮らしを快適にするための、社会を緩やかにかたちづくっているルールがあるのです。誰が決めたわけでもないのですが、いわば長い歴史の常識がつくり上げてきたようなもの。それに逆らって暮らしても、きっと心地よさは得られないでしょう。少々はずれても、大きく添っていれば気持ちよく暮らしていられるはずです。そんなルールを社会マナーとでも呼び、私たちはうまくルールに合わせてきたのです。
しきたり73
気持ちよく公園を使うためのルールを守る
都会であっても、海外では公園がいくつもあります。日本の都心では、数えるほどしかありません。それも猫(猫には悪いのですが)の額ほどの公園です。それでもないよりはまし。私が住んでいる町にも、ようやく公園ができました。猫の額よりは大きな公園です。できたときには、犬、猫、赤ちゃん、子ども、年配者など、大勢の人でにぎわっていました。特に少子化が強くいわれているときでしたが、こんなにも子どもがいたのか! と思えるほどの大盛況。
ところが、数カ月もたったころ、ピタリと子どもの姿が消えました。聞けば、犬をめぐるいさかいがあったとのこと。あのときの大盛況はなんだったのか? と思えるほどの静けさです。
公園ですから、ルールがありました。犬の紐ひもは放さない、子どもから目を離さない、遊具を使うときは気をつける、植物を傷めない、動物の糞は持ち帰る、芝生を傷める運動はしないなど。
ルールはどこにも書いてはありませんし、まして立て看板すらありません。公園を利用する人たちの常識だと、管理者(渋谷区)は考えていたからです。でも、違っていたのです。利用者にそのような常識はありませんでした。犬を放ち、争いになり、傷ついた者が出たのです。せっかく気持ちのいい公園のはずが、ほんの小さな守らなければならないルールに気をつけなかったばかりに、いさかい事が起こり、わずか数カ月で公園の役割を減少させてしまったのです。
静かな公園になって喜んでいるのは、年配者かもしれません。でも芝生が青々として、桜が咲き、バラが満開になる、みんなの公園です。お互いにルールを守り、気持ちよく公園を使う心がけを持ちたいものです。
次回は、しきたり74:歩道と車道の区別もない狭い道では、気持ちよく譲り合う、についてご紹介します。