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気持ちよい暮らしをするための、社会生活の「決まり」/しきたり76:ゴミのポイ捨てはよその子であっても注意する

阿部 絢子

阿部 絢子

生活研究家。消費生活アドバイザー。

新潟県生まれ。 共立薬科大学卒業。 料理や家事など生活全般にわたる豊富な知識と合理的なア ドバイスで、出版・講演など幅広く活躍中。 著書に『「やさしくて小さな暮らし」を自分で作る』(家の光協会)『始末な暮らし』(幻冬舎)『快適に暮らす小掃除術』 『すぐにできるエコ家事』(ともに集英社be文庫)

気持ちよく暮らす「生活のしきたり」

しきたり76:ゴミのポイ捨てはよその子であっても注意する

 

季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!テーマごとに全部で84の「しきたり」を、生活研究家の阿部絢子さんが教えてくださります。

このパート【気持ちよい暮らしをするための、社会生活の「決まり」】では、暮らしを快適にするためのしきたり68~77をご紹介しています。

 

 

●気持ちよい暮らしをするための、社会生活の「決まり」●

 

いまの社会で波風なく暮らしを快適にしたい、人とのつきあいも大切にしたい、近所ともうまく仲よくしたいと願うとき、この社会に添って無理なくつきあっていかなければ、気持ちよく暮らすことなどできません。それには、社会を緩やかにかたちづくっているルールがあるのです。このルールは、誰が決めたわけでもないのですが、いわば長い歴史の常識がつくり上げてきたようなもの。それに逆らって暮らしても、きっと心地よさは得られないでしょう。少々はずれても、大きく添っていれば気持ちよく、暮らしていられるはずです。そんなルールを社会マナーとでも呼び、私たちはうまくルールに合わせてきました。これからも、ルールに添い、時に正したり、叱ったりしながら、気持ちよい暮らしを願っていきたいと思います。

 

イラスト/みひらともこ

イラスト/みひらともこ

 

 

しきたり76

ゴミのポイ捨てはよその子であっても注意する

 

ゴミは資源、という意識が高まり、昔よりはゴミを放置しなくなってはきました。しかし、都心の駅周辺では、相変わらず歩道にゴミが散乱しています。ボランティアでゴミ収集する人たちを見るそばから捨てるのが現状です。

 

これは海外の大都市でも同様の光景を見かけることがあります。「私一人だけなら」というだらしなさにつながる気持ちを、誰しもが少なからず持っている、ということなのでしょう。

 

枯れ葉、枯れ木、枯れ枝など、自然から出たゴミと違い、缶、ペットボトル、袋、紐、ラップなどは、私たちが資源とエネルギーを消費して作り出したもの。それはエネルギーに戻せるもの。資源を放置するなど、もったいなくてできないはず。学校でも習っているはずです。

 

日本ではとても有名な遊園地からの帰り道、私の脇に歩いていた小学三年生くらいの男の子が、飲んでいた飲料水の缶を、ポーンと放り投げました。思わず、「缶を放るなんてやめなさい。缶は資源なのよ」と男の子に向かい、厳しく注意したのです。すると、その脇にいた母親と思われる人が、私をジロリ「息子に何を言うのですか!」とひと言。「ポイ捨てはよくないことですから注意したのです」と正しましたが、ぷいと怒って足早に息子を引きずるように立ち去りました。

 

楽しかった遊園地がこれで嫌な気分になったのですが、考えてみれば、私たち大人は、他人の子どもだから自分が口出しすることではないと、とがめたり、注意したりせずに、何事も穏便にという姿勢で、頭を低めて通りすぎるのを待つ、事なかれともいえる態度できたように思います。これではダメだったのです。子どものころ、いじめたり、ケガするようないたずらをしたりすると、必ず正してくれる近所のおばさんがいました。町内の子どもは一度ならず何度も怒られ、正されて大きくなりました。いま、そんなおばさんの存在はまったく見られなくなり、家庭ですら子どもをかわいがりすぎて、両親さえ正せなくなっているようです。

 

教えるべきこと、正すべきこと、守るべきことのけじめをハッキリさせ、両親はもとより、親戚、近所など他人であっても、全員で社会ルールを教えていかなければならないのではと思っています。

 

 

しきたり84写真:ゴミ捨てのルール

 

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