薬局でいつも感じる素朴な疑問にお答え
「症状を聞かれるのが面倒」「順番待ちで飛ばされた」など薬局で戸惑うことをすっきり解決! また、せっかく行くならいい薬局を選びたいもの。ポイントを医薬ジャーナリストの藤田道男さんに聞いてみました。
安さだけでなく、信頼できる薬剤師を見つけることが大切
できれば値段は安いほうがうれしいけれど、安いからといっていい薬局とは言えないかも…?
「医療費を抑えたいのであれば、門前薬局やチェーンの大手調剤薬局ということになりますが、値段だけで選ぶのはおすすめしません。特に、複数の病院を受診しているような場合、なんでも相談できる薬局を1カ所に決めておくのがいいでしょう」と藤田さん。住まいや職場の近くなど、自分にとって便利な場所で、親身になってくれる薬剤師を見つけることが大事だといいます。
「よい薬局を見分けるポイントはいくつかありますが、まずは、薬剤師が処方箋を受け取ってすぐ調剤に向かうのではなく、病状や薬歴などを受付のときにしっかり聞いてくれること。これは、患者の負担となる待ち時間の短縮にもつながります」
また、薬を出したあとでも、疑問があれば電話などでフォローしてくれるところが安心だといいます。
「患者に親身な薬局は、薬を減らす工夫をしてくれたり、飲みづらい場合は剤形を変えたりするなど、個別対応もきちんとしてくれます。市販薬やサプリメントなどを総合的に扱っている薬局であれば、処方薬と市販薬を一括で管理してくれるうえに、健康全般について相談できます。上手に活用すれば、将来的な病気の予防や健康維持にも役立ちますよ」
知っておきたい 「OTC医薬品」の分類と「セルフメディケーション税制」
コンビニでも手軽に薬が買えるようになりましたが、医師の処方がなくても買える一般用医薬品のことを「OTC医薬品」といいます。使用方法の難しさや副作用のリスク度などから評価した3つに分類され、第1類医薬品は店舗にあっても、薬剤師から服薬指導を受けないと購入できないようになっています。
「健康の維持増進と病気の予防を目的にしたセルフメディケーション税制の導入により、OTC医薬品は、1年間に12,000円を超えた額が医療費控除の対象になります。ただ、すべてのOTC医薬品が対象ではないこと、また、医療機関への支払いなどと合算しての控除は受けられないので、詳しくは医薬品メーカーや厚生労働省のホームページなどで確認しましょう」
一般医薬品
第1類医薬品(リスク高)
自由に手に取ることができない場所においてあり、薬剤師からの指導・文書での情報提供を受けたうえで購入。、
例:胃腸剤(H2ブロッカー)、ニコチン貼付剤、一部の育毛剤など
第2類医薬品(リスク中)
薬剤師または登録販売者は、情報提供に努めなければいけない。特に依存性のあるものは「指定第2類医薬品」として区別される
例:おもな風邪薬、解熱鎮痛剤など
第3類医薬品(リスク低)
薬剤師または登録販売者による情報提供についての義務はないが、疑問点などがあれば相談しよう。
例:おもな整腸剤、ビタミン剤など
構成・原文/矢沢美香(STRIPE)