笑顔は体に好循環をもたらします!
笑顔になることで、体にはどんな変化が起きているのでしょう? 今まで10万人に笑顔の理論と実践法を指導してきた斎藤一郎先生に、その仕組みや効能を解説していただきました。
笑顔はストレス発散に最も簡単で効果的な方法
昔はよくおしゃべりして笑っていたのに、最近は話すことも笑うことも少なくなった…そんな人は要注意、と鶴見大学歯学部教授の斎藤一郎先生。
「笑顔が消えてしまう最大の原因は “ストレス"です。特にMyAge/OurAge世代は人生を見直す過渡期でもあり、女性は更年期に入るため、ストレスを感じやすい年代といえます」
ストレスが加わると血管が収縮。血 の巡りが悪いと栄養が行き渡らず、髪にツヤがなくなり、顔色が悪くなり、体は冷え、免疫力も低下。
「唾液の分泌量も減って滑舌が悪くなるし、口臭も気になってくるのでますます人と話す気持ちになれない。無表情でいると顔の筋肉が衰えて肌がたるみ、エイジングも進んでしまいます」
そんな美と健康の大敵、ストレスを軽減するとっておきの方法が、笑顔になること。本当にそれだけで効果が?
「実際に楽しいかどうかは関係なく、笑顔を作ること自体がストレス軽減になることが科学的に立証されています。作り笑いでも楽しさやうれしさを感じたときと同じように脳の血流がよくなり、ストレスホルモンを減少させ、幸せホルモンなどが大量に分泌されるのです」
ストレスが減れば笑顔が増え、気分や行動が前向きになり、人とのコミュニケーションも円滑に。そして健康にもつながる笑顔は幸せのスパイラルを生む簡単で確実な方法、と斎藤先生。「笑顔になるには時間も努力もいりません。まずは作り笑いからでいいので、積極的に笑顔になりましょう」
笑顔になることで、活性化するものは?
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笑顔になることで前頭前野が活性化する
「笑顔になると、脳が幸福感を感じたのと同じ反応をします。血流がよくなり、ホルモンなどの体内の生理活性物質が活性化。DHEAというホルモンも増えるため、ストレスが軽減されます」(斎藤先生)。
DHEAは長寿ホルモンとも呼ばれ、ストレスがかかると分泌されるコルチゾールを減少させるほか、免疫力の向上、筋肉や骨を若々しく保つ、肌のハリ・ツヤを改善するなどの効果が。また、笑顔になるだけでオキシトシンなどの幸せホルモンが分泌。さらに免疫機能を高める神経ペプチドやNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化することもわかっているとか。
「笑顔のよいところは、『笑顔→ストレス軽減→幸福感・ホルモン分泌が増える→笑顔』という好循環を生むことです。ストレスがかかると血流が滞り、冷えやコリ、不眠、免疫力の低下を招くので、笑顔でいることでその予防を心がけたいですね」
「作り笑顔」でも効果があります!
「fMRI(磁気共鳴機能画像法)で脳の活動を調べると、面白いことや楽しいことをしなくても、表情を笑顔にするだけで、記憶や感情などを司る前頭前野にうれしさや幸福感を感じたときと同じ反応が見られます」。感情が伴っていない「作り笑顔」でも、脳の神経活動が活発になることは、ドイツの研究でも明らかになっているそう。
イラスト/かたおか朋子 構成・原文/矢沢美香(STRIPE)
次回は、自然に笑顔になれる心がけをお伝えします。