前から行ってみたかった瀬戸内海の豊島(てしま)に行ってきました。
ちょうど瀬戸内国際芸術祭2016を開催中の期間でしたが、平日だったため特にひどい混雑も無く、豊島の心休まる風景とモダンアートを、穏やかな気候のなかで楽しむことができました。
瀬戸内国際芸術祭とは、2010年から瀬戸内海の島々を舞台に3年に一度開催される現代アートの祭典で、今回は三回目になります。私は前に雑誌の撮影で直島、プライベートで瀬戸内生活工芸祭2012開催中の女木島、高松には行ったことがありますが、豊島へは初めてなのでとても楽しみにしていました。
岡山駅からJRで宇野駅下車。5分ほど歩くと宇野港に着きます。そこから船に乗り25分ほどで豊島の家浦港に到着です。少し歩くと猫があちこちでゴロリンとリラックス中。いや〜、いい感じです。ちょっとだけにゃんこ達と遊んでから予約をしていた電動アシスト自転車に乗り、颯爽と(笑)、島巡りスタート!
面積14.5㎢、人口900人の豊島は島中央に檀山があり、その山をぐるっと囲むように島を一周する道があります。先ずはその道へ出て豊島美術館を目指します。最初は平坦な道もだんだん上り坂になってきました。でもさすが電動アシスト付き自転車!ぜ〜んぜん大丈夫!!余裕です。ふふンと鼻息荒く飛ばしていると、大きな桜の木の下に無人のレモン販売の箱が見えてきました。
木の板に「豊島の無農薬レモン 一袋百円」とあります。
だいたい5~6個入っているみたい。今スタートしたばかりだし、身軽に行動したい…と少し迷ったもののやっぱり100円玉をチャリン。
次のページでは豊島美術館へ!
自転車のカゴにレモンを入れて更に坂を上ります。ところどころで民家や花や棚田などを見て、今度は下り坂、そしてまた上り坂、なんとアップダウンの激しいことよー。と思っていたら突然道路の先が海?!!の凄い場所に出ました。
ここでも自転車を降りてひとやすみ。
道路の脇には特産の柑橘類が木箱に入っていて、無人販売中。
美味しそうだなぁ、、、と後ろ髪ひかれつつこれ以上はダメダメと背中を向けて自転車のところへ戻りました。
海に落ちてしまいそうなカーブを曲がったところに豊島美術館がありました。
あと数分でオープンとのことで大勢の人が待っていましたが、その7割くらいの人が外国からの観光客。日本人として嬉しいような、ハズカしいような複雑な気持ちになったのは何故だろう?
チケットセンターで館内の説明を聞いた後、アートスペースへは豊島の自然の野原を歩いて(回遊して)徐々にアートの空間へ導かれるようになっています。そして靴を脱いでその空間に入りしばらくすると、ジワジワと包み込まれるような不思議な安心感。外からの光、鳥の声、風の音、風がふわ〜っとそよぐ感じに魅了される。ふと目を下に向けると、床のいたるところから水がわき出し、その水滴がスーっとある一つの方向に向かう。その先に既にそこにある水たまり(泉)に消えていくのに気付き、無心で見入ってしまう。
—なんて居心地がいいんだろう。
たっぷり気持ちの良い時間を過ごして(帰り際にもう一度来ようと心に決め)、クリスチャン・ボルタンスキーの作品へ向かいます。地図を見ると豊島にあるもう一つの港、唐櫃港の先のよう。下りの多い道を快適に自転車を飛ばして割とすぐ到着しました。
海辺に建つシンプルな木の建物。作品は心臓音のアーカイブとのことで、中に入ると真っ暗です。なんだかドキドキ。
作品を体験後外に出ると、うららかな天気、人の居ないビーチに一人外国人の女性が座っている…どこか外国に来たような気分になりました。
次のページでは「島キッチン」へ!
そろそろお昼に!と、「島キッチン」という豊島の食材を地元のお母さんたちが作ってくれるお店に向かいます。このお店は「食とアート」で人々をつなぐとのコンセプトで瀬戸内国際芸術祭2010の時に豊島集落の空き家を建築家の阿部良さんが設計・再生した建物にあり、東京、丸の内ホテルのシェフたちがアドバイザーとしてメニューの提案や調理指導などをしているそう。外のオープンテラスではグループで来ていたフランス人ツーリストたちが楽しそうにランチをしていました。
昼食後は、また島の散策と作品巡りです。
青木野枝さんの作品「空の粒子」、森万里子さん「トムフナーリ」を見て、最後にもう一度豊島美術館に足を運びました。
時間を変えて、季節を変えて、雨の日や晴れの日、何度でも来てみたいと思う美術館に来れて本当に良かった。
今回行けなかった、大竹伸朗さん「針工場」、豊島横尾館などのアートスペースや、いちご農家直営のスイーツのお店「いちご家」(かき氷が絶品らしい!食べたかった〜泣)にも次回はきっと!と思いながら帰りの船に乗り込みました。