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四季とつきあうための「習わし」/しきたり3:初詣は氏神様に家内安全を祈願する

阿部 絢子

阿部 絢子

生活研究家。消費生活アドバイザー。

新潟県生まれ。 共立薬科大学卒業。 料理や家事など生活全般にわたる豊富な知識と合理的なア ドバイスで、出版・講演など幅広く活躍中。 著書に『「やさしくて小さな暮らし」を自分で作る』(家の光協会)『始末な暮らし』(幻冬舎)『快適に暮らす小掃除術』 『すぐにできるエコ家事』(ともに集英社be文庫)

気持ちよく暮らす「生活のしきたり」

 

季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!

 

ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。

教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。

 

 

最初のパート【四季とつきあうための「習わし」】では、日本の四季にまつわるしきたり1~21をご紹介します。

今回は、【四季とつきあうための「習わし」】から、

しきたり3:初詣は氏神様に家内安全を祈願する、についてです。

 

 

●四季とつきあうための「習わし」●

季節が移り変わる日本では、季節を暦代わりにし、移りゆく季節の変化を愛でながら日々を過ごしていました。四季は暦代わりですから、四季折々が暮らしの節目ともなり、また暮らしに、その四季を取り入れる風流さも持っていたのです。着るものには、季節の模様、桜、菖蒲、花火などを描き、併せて帯にもマッチした模様を使いました。食では、必ず旬を味わい、盛りつけにも季節が感じられるよう工夫を凝らしていました。住まいでは、 、障子をうまく使いこなし、風、雪、雨などの季節を音で聴き、眺めることで、楽しんでいました。

 

季節の節目を祝う行事も、四季を暦代わりにした暮らしには、欠かせないイベントだったのです。こうして、四季に合わせた折々の行事を行うことで、暮らしは続けられ、マンネリ化しがちな日々に、変化とけじめをつける役割をも果たしていたのです。四季の変化は暮らしの変化に結びついていたのです。いま、季節感や四季を愛でることが次第に薄れつつあるようですが、すっかりなくなってしまったわけではありません。

 

季節を感じることは、充足した暮らしをおくることです。暮らしに変化をつけるためにも、季節の行事、季節を愛でる工夫を、暮らしに取り入れてみてほしいものです。季節行事は、季節に合わせていますから、暮らしの節目が感じられるばかりでなく、季節を楽しむ日本人の心の表れでもあるのです。

 

季節の移り変わりや自然の色や香りを、暮らしの中に取り入れながら、ゆとりを持って、暮らしを楽しむようにしたいものです。

 

 

 

しきたり3

初詣は氏神様に家内安全を祈願する

 

 

遠い昔には、一日の境が夕方であると考えられていたため、大晦日の夜は、一家の主が氏神神社にこもるのが習わしとされていました。こもるというかたちが、一日の境を夜中十二時とする暮らしの変化により、現代のような初詣を生んだのではないか、といわれているのです。また、初詣は、新年に初めて社寺に参詣することを意味したともいわれますので、本来は、生まれた土地の神である産土神(うぶすながみ)、住んでいる場所の氏神、先祖神などに詣で、一年の豊饒、豊作、家内安全などを祈願したといわれます。

 

イラスト/みひらともこ

イラスト/みひらともこ

 

 

最近の初詣は、御利益があるようにと有名神社に詣でる傾向があるようですが、初詣は神様をお迎え、お送りして今年一年の豊饒、家内安全、家族の健康など、一家が平安に暮らせることを願うのが習わしです。商売をしている場合なら商売繁盛を祈願したということになるのであって、決して、お金が儲かることだけを祈願したわけではないのです。有名神社に詣でたとしても、家内安全、家族の健康などを、氏神様、産土神、あるいは田畑を守ってくれる神様に祈願するのが、初詣です。

 

このような初詣本来の意味がわかると、都会であっても、ご近所の氏神様に初詣をするのが、本来の姿なのだと思います。そして、私たちはとかく神頼みをしがちですが、その前にまず自分で頑張るよう努力してみることだけは、忘れないようにしたいものです。

 

 

 

次回は、しきたり4:お正月のあと始末は松送りやどんどの火に燃やす、についてご紹介します。

 

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