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四季とつきあうための「習わし」/しきたり8:ひな祭りは子ども用品や衣類の整理どき

阿部 絢子

阿部 絢子

生活研究家。消費生活アドバイザー。

新潟県生まれ。 共立薬科大学卒業。 料理や家事など生活全般にわたる豊富な知識と合理的なア ドバイスで、出版・講演など幅広く活躍中。 著書に『「やさしくて小さな暮らし」を自分で作る』(家の光協会)『始末な暮らし』(幻冬舎)『快適に暮らす小掃除術』 『すぐにできるエコ家事』(ともに集英社be文庫)

気持ちよく暮らす「生活のしきたり」

 

 

季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!

 

ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。

教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。

 

 

最初のパート【四季とつきあうための「習わし」】では、日本の四季にまつわるしきたり1~21をご紹介します。

今回は、【四季とつきあうための「習わし」】から、

しきたり8:ひな祭りのお祝いのときは、子どもの成長に合わなくなったものを整理する、についてです。

 

 

 

 

●四季とつきあうための「習わし」●

 

 

季節が移り変わる日本では、季節を暦代わりにし、移りゆく季節の変化を愛でながら日々を過ごしていました。四季は暦代わりですから、四季折々が暮らしの節目ともなり、また暮らしに、その四季を取り入れる風流さも持っていたのです。着るものには、季節の模様、桜、菖蒲、花火などを描き、併せて帯にもマッチした模様を使いました。食では、必ず旬を味わい、盛りつけにも季節が感じられるよう工夫を凝らしていました。住まいでは、 、障子をうまく使いこなし、風、雪、雨などの季節を音で聴き、眺めることで、楽しんでいました。

 

季節の節目を祝う行事も、四季を暦代わりにした暮らしには、欠かせないイベントだったのです。こうして、四季に合わせた折々の行事を行うことで、暮らしは続けられ、マンネリ化しがちな日々に、変化とけじめをつける役割をも果たしていたのです。四季の変化は暮らしの変化に結びついていたのです。いま、季節感や四季を愛でることが次第に薄れつつあるようですが、すっかりなくなってしまったわけではありません。

 

季節を感じることは、充足した暮らしをおくることです。暮らしに変化をつけるためにも、季節の行事、季節を愛でる工夫を、暮らしに取り入れてみてほしいものです。

 

季節行事は、季節に合わせていますから、暮らしの節目が感じられるばかりでなく、季節を楽しむ日本人の心の表れでもあるのです。

 

季節の移り変わりや自然の色や香りを、暮らしの中に取り入れながら、ゆとりを持って、暮らしを楽しむようにしたいものです。

 

 

 

しきたり8

ひな祭りのお祝いのときは、

子どもの成長に合わなくなったものを整理する

 

 

ひな祭りを三月節句や女の節句などといい、女児が生まれると、初節句にひな人形を贈るのが決まりのようになっています。

 

元来は、四月から始まる農事に先立つ月で、穢けがれを清めたときであったようです。それには、水辺に出て禊みそぎ(身体を清める)をし、穢れを手作りのひな人形に移して流す行事をしたのです。

 

これがひな祭りの始まりです。その後、流すひな人形ではなく、飾る人形となり、三月節句として、女の子が祝う行事へと次第に変化してきたようです。このように本来の祭りから思うと、ひな祭りは、おひな様を飾って祝わなければならない、と考えることはないように思います。我が子がすくすくと育つようにお祝いをする、と考えてあげることでしょう。立派なひな壇を飾ることだけが、ひな祭りではないのです。折り紙のひな人形でも、小さな内裏びな人形でもひな祭りはできるはずです。子どもを中心に、祖父母、両親が一緒にひな人形を囲んで和気藹あい々あいと話しをしながら料理を楽しむ、そんな祝い方がひな祭りではないかと思います。

 

そして、農事前の穢れを清める意味を、現代にも取り入れるなら、子ども用品、子ども服など、年に一回の使用・不使用を整理するときと決めるのがいいでしょう。成長の早い子どもですから、毎年必要なモノが使えなくなっていきます。使えないモノをそのままにしておくと、たまるばかりです。また、我が子の成長の写真やビデオも整理しないと、ドンドン増える一方になります。

 

ひな祭りのときを子ども用品や衣類の整理どきと決め、清める意味で整理していってはいかがでしょうか。

 

 

イラスト/みひらともこ

イラスト/みひらともこ

 

 

 

次回は、しきたり9:入学や卒業などの子どもの自立のチャンスに身に付けるべきしきたり、についてです。

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