気持ちよく暮らす「生活のしきたり」
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
最初のパート【四季とつきあうための「習わし」】では、日本の四季にまつわるしきたり1~21をご紹介します。
今回は、【四季とつきあうための「習わし」】から、
しきたり15:お墓参りは、無理せず行けるときに行けばいい、についてです。
●四季とつきあうための「習わし」●
季節が移り変わる日本では、季節を暦代わりにし、移りゆく季節の変化を愛でながら日々を過ごしていました。四季は暦代わりですから、四季折々が暮らしの節目ともなり、また暮らしに、その四季を取り入れる風流さも持っていたのです。着るものには、季節の模様、桜、菖蒲、花火などを描き、併せて帯にもマッチした模様を使いました。食では、必ず旬を味わい、盛りつけにも季節が感じられるよう工夫を凝らしていました。住まいでは、 、障子をうまく使いこなし、風、雪、雨などの季節を音で聴き、眺めることで、楽しんでいました。
季節を感じることは、充足した暮らしをおくることです。暮らしに変化をつけるためにも、季節の行事、季節を愛でる工夫を、暮らしに取り入れてみてほしいものです。
季節の移り変わりや自然の色や香りを、暮らしの中に取り入れながら、ゆとりを持って、暮らしを楽しむようにしたいものです。
しきたり15
お墓参りはお盆や彼岸にこだわらず、
無理せず行けるときに行けばいい
日本人は正月と盆のふたつを二大行事として、遠く離れて住む家族も郷里に帰り、家の祭りに参加するものと考えてきました。ですから、盆の霊祭り行事では盆棚を設けて祖霊を迎える、墓参りをする、盆送りをするなどが行われてきました。
また、墓参りは春・秋の彼岸行事として、一般的に行われてきていますが、それは仏教の影響を受けたからだそうで、古くは季節の変わり目であるこのときに農神を祭り、作物の豊饒を祈り、収穫を感謝する慣習があったからだそうです。
いずれの墓参りも、墓に参るのは亡き人を偲び、語るときを持つということです。
墓に参る気持ちがなにより大切ですから、墓が遠く、盆に参ることができないときには、気持ちを家族に託したり、供物を送ったりすればいいのだと思います。それに都会暮らしではなかなか忙しく、思うようにお盆や彼岸に合わせて帰郷できないときもあります。墓参りに日にちの決まりがあるわけではないので、無理せず、行けるときに行くのがいいのではないかと思います。
私の場合も、実家の墓は遠くにありますので、盆や彼岸に行けるとは限りませんし、また母も、体調やスケジュールの都合で行けないときには、日にちを変えて墓参りをしています。
日本人の二大行事を大切にする気持ちは理解しますが、亡き人と語らう墓参りの日にちは自分で決めればよいのだ、と私は解釈しています。
次回は、しきたり16:お中元・お歳暮は日ごろの感謝を表すものなので、時期にとらわれずに自由な感謝の表し方を考える、についてご紹介します。