こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。
全国の寺社巡りの旅情報をお送りしています。
今回は、先日、ふらりと出かけた台北の旅について。
第一回は、台北の街なかとその周辺に点在するパワースポット巡りです。
現在の台湾では、宗教を選ぶ自由があり、各宗教は同等のものと認められています。道教、キリスト教(カトリックとプロテスタント)、仏教が主流です。
しかし、日本で神道と仏教が習合したように、道教と仏教は習合している場合が多く、今回ご紹介するパワースポットは、主に、道教の神様と仏教の仏様が同時に祀られる寺院です。
ホテルから駅に向かう道すがらにあったため、朝晩お参りさせていただきました。
日本語が少しわかる方がいて、パンフレットをくれました。
それによれば、こちらは1875年に創建された地域の守護神でした。現在は、ホテルや食べ物屋さんの多いにぎやかな場所ですが、当時のこのあたりは田んぼと竹林が多い田舎であったそうです。2000年から拡大と改修工事なほどこされ、現在は、地上3階に地下3階の壮麗な総鎮守になりました。
観音様や十六羅漢など仏教的な像もありますが、こちらの一番の神様は「福徳正神─土地公」のようです。その名のとおり土地の神様で、農家に富をもたらすことから金運の神となり、今ではあらゆる職業の人々に信仰されているとのこと。日本の神様で言えば、お稲荷さんみたいな感じでしょうか。
夜はライトアップされていっそう美しくなります。お近くのホテルにお泊りの方は、ぜひ訪ねてみてください。
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次は、おみくじで有名な行天宮へ。こちらも中山区にあります。1967年にできた新しいお寺ですが、台北の人たちに大人気で、朝から晩までお参りの人が境内を埋め尽くしています。
主神は商売の神である「關聖帝君」。これは、三国志に登場する関羽雲張のこと。主君への忠誠心が強かったことから、死後、神として祀られるようになり、いつしか商売の神として信仰されるようになったのだとか。参拝の人々は、きちんと並んで順番を待ち、青い服を着たボランティアの女性に「収驚」というお祓いをしてもらっています。人は何かに驚いたり強いショックを受けたりすると魂が抜けてしまうことがあるので、それを戻してもらう、というものです。「擲杯」という占いもできます。境内のテーブルに置いてある、対になった三日月形の赤い木片(聖)を両手に乗せ、神様に自分の氏名、生年月日、住所を告げます。そして願い事を一つだけ心で念じながら、聖を投げます。 聖の表と裏が出たらイエスで願い事は叶う。表と表が出たときはノーで、願いごとは叶わない。裏と裏が出てしまった時は、神様への願いごとが不明だったり、または、参拝者自身がすでに答えを知っているという意味だそうです。
おみくじを引く前にもこの「擲杯」をして、イエスが出ないとひいてはいけません。めでたくイエスが出たらおみくじをひきますが、そのあとにも「擲杯」をして、再度イエスが出れば、出た番号を事務所に持って行き、ご託宣が書かれた紙を受け取ります。もしもイエスが出なければ、もう一度おみくじをひいて、また「擲杯」をする。これをイエスが出るまで繰り返します。神様のお言葉をいただくまでの道のりは、そう簡単ではないのです。
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3つ目のお寺は龍山寺。こちらも台北の方々に人気が高く、最強のパワースポットと言われています。1738年に建てられた台北で最古の寺です。中国大陸の福建省から移住してきた人々が建てました。道教の神様もたくさん祀られていますが、もともとは仏教寺院で、観音菩薩がご本尊です。境内の手前の建物が観音様を祀るお堂、その後ろの建物には、道教の航海の女神である媽祖、商業の神として関羽など、道教、儒教の神や歴史上の人物(関羽)も合わせて祀られています。このようにたくさんの神仏が祀られ、ご利益がたくさんあるところが人気の秘密でしょうか。月下老人は縁結びの神。若い人たちがお参りしています。周辺地域は、台北でも古くから開けたところで、にぎやかな下町です。仏具店が並ぶ道、薬草店が並ぶ道、骨董品を売る店が並ぶ道、美味しいものの屋台が並ぶ夜市など、庶民的で興味深いエリア。観音様を祀るお寺が中心となって発展した街という点でも、浅草に似ていますね。
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最後にご紹介するのは、台北の南のはずれの山の上にある指南宮です。
こちらは、最近人気の観光地、猫空(まおこん)とセットでお出かけください。地下鉄の終点である動物園駅で降りて少し歩くと、猫空行きのロープウェイの乗り場があります。眼下に広がる台北の街を眺めながらの空中散歩。終点の猫空駅のひとつ前が指南宮です。
広大な敷地の中に4つの主殿と5つの次殿があり、回廊で結ばれています。こちらは台湾道教の総本山ですが、仏教、儒教の要素も取り入れられています。東洋のありとあらゆる神様と仏様がひしめく天空のパワースポットという感じでしょうか。
眺めも素晴らしく、台北一高いビル、Taipei101も、よく見えます。
この場所にいるだけで、よい気を体中に取り込める気がします。お参りを終えたら、徒歩またはロープウェイで猫空へ。
ここは木柵鉄観音茶の産地で、山の斜面にお茶のだんだん畑が並んでいます。
季節の花の咲く野原も多く、のどかな風景の中、お散歩するのが最高。
茶芸館もたくさんあり、中には、お茶の葉を使った料理を食べさせてくれる店もあります。
夜景もきれいなので、夜までゆっくり過ごすのもいいですね。
吉田さらさ
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