表参道で友人と待ち合わせてブランチをした後に、根津に向かいました。
お目当ては、インテリアや建築が好きな友人イチオシの「厨菓子くろぎ」。東京大学卒の建築家、隈研吾氏が設計した空間で、和食の鬼才といわれる「くろぎ」のオーナー兼料理長の黒木純氏が考える和菓子をいただけるカフェです。
東京大学本郷キャンパス内にあるカフェへのアクセスを調べていたところ、キャンパスがとても広いことを発見。
明治維新前は加賀藩の屋敷地だった敷地内には、加賀藩主前田家の屋敷や大庭園「育徳園」が残っていて、見事な景観で有名です。近隣住人や観光客の憩いの場になっていることがわかりました。これは散策してみる価値があります。
「三四郎池」とよばれる育徳園心字池は、夏目漱石の「三四郎」の中に記述があることからこの名前がついたそうです。水辺に黄菖蒲が美しく群生しています。奥には小さな滝、浮島があり、とても都心部とは思えません。池の周りはかなりの高低差があり、上り下りしていたら汗ばみました。木々の間を吹き抜ける水辺のそよ風が心地よいです。
キャンパス内には東京大学卒の有名な建築家の建物が点在しています。
昭和の建築界を牽引したと言われる内田祥三氏の手による安田講堂と医学部二号館。
安田講堂は、東大紛争がおこった場所だと歴史の教科書で白黒写真で紹介されていたことを覚えています。ですが、銀杏並木の奥にそびえたつ建物は美しく、前面にある芝生と石のベンチでは思い思いに人々が寛いでいます。
安田講堂とは三四郎池をはさんで対面にある医学部二号館。何も遮るものがない初夏の青空をバックにした眺めは、伝統ある海外のキャンパスにいるかのような錯覚をおこします。
3か所を散策するだけでも1時間半くらいがあっという間にすぎてしまいます。
カフェの方向へ移動していると、またまた素敵な建物に遭遇。香山壽夫氏による弥生講堂です。
ガラス張りの外面に樹々が映り込み壮大なパノラマを形成しています。木質構造による省エネルギーと環境調和を考慮して設計されたとか。大正・昭和初期の世界からいっきに21世紀にワープした感があります。
そして今回の目的である「厨菓子くろぎ」にやっと到着。
こちらも木、土といった自然素材で作られたパネルを用い、自然光と風を感じ気持ちがよいです。庭園を眺めるソファー席に座ると、自然な風が髪をそよがせます
「料理やの和菓子」がコンセプトなので、お料理屋さんのようにできたてのお菓子が供されます。
私がお願いしたかき氷は、フワフワした粉雪が積もって自然に形づいたような、とても軽い口当たり。
上品な甘さの練乳、きなこと小豆がトッピングされていて好みで黒蜜をかけていただきます。
スプーンですくうと、きなこがハラハラとお盆の上に散っていくのもまた一興。
見た目はかなり大きいですが、舌にのせたとたんにフワッと溶け、スイスイと食べ進められます。
丁寧につくられた出来立ての和菓子をゆっくりといただき、世界的に評価の高い隈研吾氏の空間を楽しむ。接客もゆったりとしていてとても心地よく、贅沢な時間をすごせました。
思いがけずに自然や荘厳な建築物に巡り合えたおでかけでした。
学生が少ない休日に訪れるのがオススメです。