こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。
今回は、前回に引き続き、「商店街HOTEL 講 大津百町」に滞在して周辺を巡る旅のお話です。旅2日目は、ホテルで用意してくれた朝食を食べ、商店街の探索をして過ごしました。この商店街、一見、何でもなさそうなところに思えますが、じっくり歩くと驚くべき発見が次々とあって侮れません。古い街並み歩きがお好きな方は、ぜひこちらでお宝探しをしてみてください。
朝食はフロントのある「近江屋」に併設されたレストランでいただくので、宿泊している一棟貸しの「丸屋」から、軽く朝のお散歩です。
立派な厨房と一枚板のカウンター。現在は、まだ朝食だけの提供ですが2019年4月からは夕食も供される予定です。朝食はオプションで宿泊料とは別に2500円(税別・サ込/事前予約制)となります。
朝からこんなに充実。四角い容器に入っているのは、右側、右上より時計回りに、エビ豆、金時豆のトマト煮、レンコンとごぼうの煮もの、レンコンときゅうりのゴマみそあえ。左側、右上より、牛肉しぐれ煮、きりぼし大根、赤こんにゃく、ポテトサラダ。フレッシュジュース2種に、地元商店街の老舗漬物店、「八百与」の漬物も。これに茶碗蒸しもつきます。(メニューは時期により変動します)
ごはんは、地元の商店街の店、「タニムメ水産」特製のうなぎ茶漬けで。シソ、キュウリなどを乗せて、大津の老舗茶屋、「中川誠成堂」のほうじ茶をかけていただきます。
商店街HOTEL 講 大津百町
077-516-7475
腹ごなしにまたお散歩。と言っても、われわれが泊まっている「丸屋」」商店街の真ん中にあるため、ほんのちょっと歩いただけで、すぐに立ち寄るべき場所があります。まずは、「まちづくり 大津百町館」へ。こちらは築およそ100年の町家で、「一般財団法人 大津歴史的建造物保存会」が保有し、「大津の町家を考える会」のみなさんがボランティアで案内をしてくれます。
「講 大津百町」も、築100年以上の町家をリノベーションしたホテルですが、インテリアが現代的なので、以前の様子がなかなか想像できません。しかし、こちらに来れば、大津百町の町家がもともとどんなものであったかがよくわかります。
上の写真の瓦は約200年前のもので、こちらの町屋が明治32年に建て替えられた時まで使われていたものです。
大津は天領であり、また琵琶湖岸にお米が着く港町、三井寺の門前町、東海道最後の宿場として、大いに賑わっていたそうです。お金持ちが多かったため大きな町家が多いのですが、災害も天災にも免れたおかげで、現在も町のあちこちにたくさん残っています。
土間部分の台所には竈があります。火の用心などのお札がたくさん貼られていますね。
まだ水が汲める井戸もあります。今では珍しい、つるべで実際に汲む体験ができ、人気だそう。
現在のかたちに建てかえられたのは明治32年ですが、実際に使われていた当時の道具や調度品が残されており、なかなか興味深いです。
大広間はひとまで12畳、大津の町家の特徴のひとつです。他の都市の町家にはないそうで、大津の町が繁栄していた証とのこと。大津百町いわれ賑わっていたころは、この大広間で自分たちの教養を高めるための宴会がよく催されていたそうです。
まちづくり 大津百町館
http://hyakucyou.s11.xrea.com/
お向かいにある「大津祭曳山展示館」も見逃せません。
大津祭は毎年10月の体育の日の前日に行われる国指定重要無形民俗文化財の行事で、13基の曳山と3つの宵宮飾りが街を巡行します。
こちらには、曳山の原寸大模型が展示されています。曳山にはからくり人形が乗っており、細かな彫刻もほどこされた見事な工芸作品です。
実際の祭の映像やお囃子を体感できるコーナーもあります。
大津祭曳山展示館
077-525-0505
次ページに続きます。
引き続き、ホテルスタッフの案内で、商店街のお店を巡ります。これはホテルのアクティビティとして行われているものなので、予定さえ合えば宿泊者なら誰でも参加することができます。
スタッフさんはお店の方々と仲良しで、立ち寄ると、皆さん気さくにいろいろなことを教えてくれます。「商店街の活性化の一助になりたい」というホテルのコンセプトは、すでに地元の方々に受け入れられ、実を結び始めているようです。
こちらは朝食でいただいたうなぎ茶漬けを作ってもらっている「タニムメ水産」です(朝食で出るのと、店頭で販売されているものは異なります)。ほかの地方ではあまり食べられない湖魚と、朝取りした新鮮な魚を昔ながらの料理法で調理した佃煮や自家製鮒ずしなどの加工品を扱っています。
皇太子、雅子様のご結婚の折に、饗宴の儀の料理の素材の一つとして、琵琶湖産の小鮎3,000匹のご注文を頂いたというエピソードも。また、京都の料亭などに卸しているそう。
店頭でうなぎも焼いています。うなぎは、愛知県直送のものがメインですが、貴重な琵琶湖の天然うなぎの入荷もあります。
タニムメ水産
077-522-3778
こちらはスタッフさんたち行きつけのフルーツショップ「丸二果実店」。大正元年創業の老舗です。
併設のカフェでいただける、季節のフルーツをふんだんに使ったかき氷、ジュース、サンドイッチ(次回登場)などがお勧め。東京では考えられないお値段なのも嬉しい。これは桃のかき氷。氷の中から大きくカットされた桃が出てきます。なんと400円!
わたしは桃のジュースをいただきました。ストローで吸い込みにくいほど濃厚で、500円。どれだけの量の桃を使っているのでしょうか。
添加物や砂糖不使用、本当の果実の味を楽しめるドライフルーツも人気で、こちらはオンラインでも買えます。
丸二果実店
077-526-0444
http://www.scn.tv/user/maruni/shop/index.html
こちらは創業嘉永3年(1850年)の漬物屋さん「八百與」。
風格ある建物とケヤキの一枚板の大看板が目を引きます。看板は大津市景観重要広告物 指定第1号となった由緒あるものです。このような立派な看板は、大津市内で他にも見かけることができるので、看板ウオッチングも楽しいですね。
この店の名物は近江蕪の「長等(ながら)漬け」(粕漬け)です。「講 大津百町」の朝食には、こちらの瓜の粕漬けが添えられていました。
「八百與」の漬物は皇室の御用達だったということで、当時の宮内省(現宮内庁)からの注文書なども残っています。
大津の町家は奥深いです。こちらも店の奥にはお蔵があり、代々伝わる器などが収納されています。
人数がそろえば、奥のお部屋で何種類もの漬物が並ぶ「お茶漬け膳」をいただくこともできます。これぞ、商店街をじっくり歩いて知った耳より情報でした。
八百與
077-522-4021
地元の人々が「肉ならここ」と太鼓判を押す「肉のげんさん総本店」では、コロッケも人気。お値段をよく見て!本格コロッケ37円、松坂牛コロッケ139円ですって。
肉のげんさん総本店
077-524-2929
次ページに続きます。
商店街からは少し離れていますが、琵琶湖で育った淡水パールのお店「神保真珠商店」にもぜひ立ち寄ってください。大津在住の女性たちに絶大な人気があり、何かの集まりの時は、必ずこちらの真珠を身に着けるというファンが多くいるそうです。
「びわ湖真珠」は、かつてはヨーロッパやアメリカで非常に人気が高く、輸出真珠の花形でしたが、環境の悪化や水質汚染により貝が十分に育たない時代が長く続き、主に海外向けだったということもあり、次第に忘れられていきました。養殖場は大幅に減ったものの、生産者の努力と養殖技術、環境の改善により、現在も美しいびわ湖真珠が作られています。
1966年に創業された「神保真珠商店」は、長く店舗を持たずに真珠を販売してきましたが、生産者ら預かったびわ湖真珠をもっと多くの方に知ってもらい、身につけてもらいたいという想いから、2014年、地元大津に実店舗をオープンされたそうです。
びわ湖真珠はひとつひとつ色や形が違うため、すべて一点ものです。色や形が異なるのは、母貝への核の入れ方など、養殖業者さんそれぞれの技術によるものだとか。また、ビンテージパールと呼ばれる30年ほど前に採られた真珠が残っていて、これは無核で真珠層だけでできているものです。真珠層の厚さとその頃の水質もあいまって、テリがすばらしく美しくて、今ではたいへん稀少だそう。
アクセサリーは、珠そのものの美しさを生かしたシンプルなデザインが魅力的。
好きな球を選んでオーダーすることもできます。
神保真珠商店
077-523-1254
夕食は、神保真珠のお店からほど近い「おお杉」でいただきました。ほかではまず食べられないうなぎのしゃぶしゃぶを目当てに、全国の美味しいもの好きがやって来る店です。
うなぎと言えば蒲焼。それも美味しいけれど、うなぎの味というよりはタレの味です。しかししゃぶしゃぶだと、うなぎ本来の味がよくわかります。確かに少し油っぽいのですが、特製のポン酢でいただくと、するするとおなかに収まって行きます。
うなぎにこんな食べ方があるなんて知りませんでした。
最後は雑炊にしてもらえるので、おなかいっぱいになります。
琵琶湖周辺の食文化は本当に奥深いですね。
おお杉
077-526-3824
吉田さらさ
公式サイト
http://home.c01.itscom.net/sarasa/
個人Facebook
https://www.facebook.com/yoshidasarasa
イベントのお知らせページ