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発見!滋賀・大津の知られざる魅力/③商店街HOTELを拠点に、ちょっと郊外へ琵琶湖の美味探訪!

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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こんにちは。寺社部長の吉田です。

今回も、滋賀県大津市に新しくできた「商店街HOTEL 講 大津百町」に滞在して、周辺にお出かけする話の続きです。旅の3日目は、地元の喫茶店でモーニングを食べ、琵琶湖に浮かぶ有人島の沖島まで遠出します。沖島には、琵琶湖で漁業に携わる方が多いため、湖魚の加工品を購入することができます。夕食は、ホテルのキッチンとダイニングを使い、沖島とホテル周辺の商店街で買った美味しいものをつまみに、地元でイチオシの日本酒を味わってみましょう。

 

 

さて、今日もまた、朝めし前の軽いお散歩です。

本日の朝食は、商店街の少し先にあるレトロな喫茶店 サモワールで。お寺が立ち並ぶ雰囲気のよい通り沿いにあります。

店内に一歩足を踏み入れた瞬間、青春時代にタイムスリップ。昔、うんと若いころ、こんな喫茶店によく行きました。ブレンドではなく、モカやブラジルなどのコーヒーの銘柄を指定して注文するのが、何だか大人っぽく思えたものです。

 

オーナーの女性は、今は亡きご主人と、日本人がコーヒーの味に目覚めたころから、この場所でこのお店を続けてこられたのだそうです。「最近はサイフォンを見たことないという若い子もいて驚くわね」とオーナーさんはちょっと苦笑い。

モーニングは厚切りバタートーストとブレンドコーヒー。このごろチェーンのコーヒーショップが増えたけれど、わたしはやっぱり、昔ながらの方法で一杯ずつ丁寧に淹れたコーヒーの方が美味しいと感じます。

 

サモワール

077-525-0901

 

 

さて、朝食も終わり、いよいよ沖島へ。しかし大津市内から沖島に行くのは、なかなかたいへんです。まず電車で近江八幡に行き、バスに乗り換えて堀切漁港(沖島行きの船の乗り場)に向かい、そこから船で10分。今回は、滋賀県在住の友人にお願いして、車で行きました。これだと、船の乗り場までおよそ1時間。琵琶湖大橋を渡る快適なドライブです。

大橋を渡ってすぐの湖岸に第一なぎさ公園という素敵なスポットがあります。7月中旬から8月初旬にかけて、ここは広大なひまわり畑に。琵琶湖や対岸の比良山の風景とあいまって絶景となりますので、ジャストシーズンに行かれる方はお見逃しなく。

まだ少し時間に余裕があったので、船着き場のすぐ近くの「水茎焼(みずぐきやき) 陶芸の里」にも寄りました。このあたりは琵琶湖畔の景勝地で、万葉集の時代から「水茎の岡」と呼ばれていました。この地の美しさにちなんで考案されたのが「水茎焼」で、琵琶湖をイメージした淡青色のオリジナル釉が特徴。滋賀県の県鳥であるかいつぶりがシンボルマークとなっています。

陶芸教室もあります。次はぜひトライしてみたいです。

 

水茎焼 陶芸の里

http://www.mizuguki.com/

 

 

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さて、堀切漁港に到着です。

本数が少ないので、乗り遅れないように注意してくださいね。

沖島までは船でおよそ10分。

沖島は、日本で唯一、人が暮らす淡水湖の中の島です。周囲約6.8㎞、面積約1.5平方k㎡の小さな島で、人口は約300人。多くは漁業に従事し、琵琶湖で産する魚の半分は沖島の漁師さんたちが獲ったものということです。車は一台も走っていませんが、住民の方々は自家用船を持っています。買い物や病院に行く時は、その船で堀切漁港に行き、そこに停めてある自家用車で移動するのだとか。

 

ポスターの文字通り「海なし県の離島」。

島内移動は徒歩か自転車。さすがに田んぼはないけれど、野菜を作る畑はあちこちにあります。

 

 

こちらは小学校。現在は、島に住んでいる子供が少ないため、対岸の近江八幡から船で生徒が通うことで、学校が維持されています。

 

次ページに続きます。

沖島にはそこここに、のんびり暮らす猫がいて、岩合さん気分で猫ちゃん写真を撮ることができます。でも、猫にエサをあげるのは厳禁なので、マナーはちゃんと守ってくださいね。

あ、こんなところにも猫ちゃん発見!

 

 

島にはお店はほとんどないので、お昼を食べたい場合は、事前予約をしておくのが無難のようです。数少ない施設のひとつ、沖島漁協には、「湖島婦貴(ことぶき)の会」という婦人部が運営する組織があり、湖魚を炊き上げた若煮、お弁当、沖島物産などを提供してくれます。

川エビと大豆を炊いた「エビ豆」は琵琶湖の名物ですが、地元の人によれば、他の場所で買うと大豆が多く、沖島で買うとエビが多いそうなので、ぜひここで買ってください。琵琶湖の珍味として有名な鮒鮓も、沖島産のものがあります。

 

 

わたしたちは、「汀の精(みずのせい)」というカフェでランチをいただきました。こちらは、天然素材のオリジナルウェアやグッズを作って売る店でもあるので、店内にはそれらも展示されています。

お料理の食材は、ほとんどが沖島産。小鮎、ビワマス、川エビ、ウロリ(ゴリ)など、琵琶湖の幸がずらりです。野菜もすべて沖島の畑で育てたもの。わたしは右上のお皿にのっているニゴロブナのフライが気に入りました。ニゴロブナは鮒鮓の材料として知られますが、こういう食べ方もあるんですね。また、ウロリの佃煮などは他でもいただけますが、写真左の小鉢のウロリの釜揚げは、水揚げ産地の沖島でしか味わえない貴重なもの。

 

汀の精

0748-47-8848

 

 

ランチ後、再び島の散策。

こんな小さな島なのに歴史の古い神社仏閣もいくつかあります。こちらは奥津島神社。藤原不比等が建立したと伝わる由緒ある神社です。

上まで登ると、対岸まで見渡せます。

 

 

沖島に本格的に人が住むようになったのは、12世紀の保元・平治の乱の際に、源氏の七人の落ち武者が住み着いたことが起源とされ、現在のこの島の住人は、その七人の子孫とされています。こちらの西福寺は、その七人の中のひとりの末裔が、蓮如上人に帰依して庵を建てたことに始まります。

こちらは願證寺。やはり七人の落人の末裔が蓮如上人に帰依して建てた寺です。山号が、なんと「絶景山」。その名の通り、本堂の奥から琵琶湖の景色が望めます。

沖島は小さな島です。船着き場は琵琶湖の東岸側ですが、この寺の裏はもう島の裏側で、琵琶湖の西岸が望めました。

 

帰りの船まで、ぶらり散策。迷路のような路地を歩いていると奥にまた琵琶湖が望め、のどかな風景が表れてきました。

 

沖島町離島振興推進協議会

https://montekite.com/

 

 

次ページに続きます。

さて、大津に戻り、「商店街HOTEL 講 大津百町」の部屋で、夕食の準備です。

このホテルには、一棟貸しの棟が多く、それぞれにキッチンやダイニングがついています。夕食は、ダイニングと一体型のキッチンを備えた「糀谷」という棟でいただきました。お話しをしながら準備をするのに最適ですね。

本日のメニューは、沖島の漁協で購入したものと、ホテル周辺の商店街で調達したものです。

 

写真左上より時計まわりに、商店街の漬物屋「八百與」の浅漬け、沖島のエビ豆若煮、沖島のウロリの若煮(ゴリ、ヨシノボリの稚魚)の佃煮、沖島の鮒鮓、商店街「タニムメ水産」の鮎の塩焼き、同じく「タニムメ水産」の鯉の南蛮漬け、商店街の「肉のげんさん」のコロッケ、お酒は地元の「平井酒造」の『浅芽生』です。すべて美味しかったですが、とりわけ、沖島のエビ豆と鮒鮓が絶品でした。鮒鮓は苦手という方も多いですが、沖島のものはにおいもそんなにきつくなく、風味もまろやかで万人にお勧めです。

甘党の方にお勧めなのは、商店街「丸二果実店」のフルーツサンド。何種類ものフルーツが入っていて、まるでケーキみたい。

※書店街のお店の詳しい紹介は、連載の2回目にあります。

 

以上、「商店街HOTEL 講 大津百町」での3日間の滞在のレポートでした。これまで何度となく滋賀県を訪れながら、大津中心部を観光地と思ったことがなく、商店街にも足を踏み入れたことがありませんでしたが、今回、こちらのホテルに泊まってみて、ここがいかに興味深い場所であるかがわかりました。京都の観光地にある有名な老舗などと違い、こちらにあるお店は、地元の住人たちに支えられて存続しています。そこにホテルができて滞在することにより、外からの人も、街の魅力を発見することができるんですね。このような古い街は、日本の中に、他にもたくさんあることでしょう。それらの街にこんなホテルができ、街並みや古い建物の保存に一役買うことを願ってやみません。

 

商店街HOTEL 講 大津百町

http://hotel-koo.com/

 

 

吉田さらさ

公式サイト

http://home.c01.itscom.net/sarasa/

個人Facebook

https://www.facebook.com/yoshidasarasa

イベントのお知らせページ

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