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「鳩居堂」が手掛けた聞香喫茶「聞香処」

小原誉子

小原誉子

「京都観光おもてなし大使」&旅ライター
アナウンサー、テレビ番組プロデューサーなどを経て、集英社「エクラ」などのライターに。
2011年より京都に在住。
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寺町のアーケードに本店を構える紙、墨、筆をはじめ、お香、封筒、便箋、ハガキなど和文化を支える品々の老舗「鳩居堂」。本店から北へ、御池通を越えて、少し寺町通を進むと、昨年3月にできた「鳩居堂」のセレクトショップ「聞香処(もんこうどころ)」があります。古い構えの町家に丸に鳩の紋を掲げた店には、現代のライフスタイルにマッチした洗練されたデザインの和の文具などが揃えられているのです。

本店の豊富な品々からお気に入りのものを選ぶの楽しいのですが、ここに来れば、素敵!と思う品々にすぐに出会えるので、贈り物やおみやげを探すのにとても便利です。とはいっても、「鳩居堂」らしい和の遊び心を感じさせるデザインで作られた一筆箋や付箋、ノートなど日常に使いたい品々が並ぶ店内、思わず夢中になり時間が過ぎるのも忘れます。

店の棚で、まず目を惹くのが、パステルカラーのトートバッグ。帆布バッグで知られる「一澤信三郎帆布」とのコラボで作られた特製トートバッグは、鳩の模様がデザインされた「聞香処」のオリジナル商品だそう。使いやすいサイズと軽さが魅力です。また同じデザインのふきんなども、洒落た京都みやげにもピッタリ。もらってうれしい品のひとつではないでしょうか。

 

 

黒い柱や梁が京町家の風情を漂わす店の中央には、日本の匠の技と海外のプロダクトデザイナーとのコラボで生まれた器や南部鉄の急須などが並びます。優れた日本の工芸技術が、モダンな暮らしにも合うようにデザインされたもので、端整なフォルムと使いやすさを併せ持った品々なのです。伝統とモダンさをコンセプトに品揃えされた店を象徴するかのよう。

また、棚には、天然香料をベースにした和の香り、香水香料をメインにした洋の香りが楽しめるスティックタイプのお香が種類豊富に並び、そのやさしい香りとパッケージの素敵さにも心惹かれます。こちらも現代の暮らしに似合う軽やかで、癒しされる香りが勢揃い。

さてお香が並ぶ棚で品選び夢中になりつつ、ふと店の奥に目をやると、カウンターのようなテーブルに、スツールが並んでいます。なんとそこは、奥行きのある京町家の店舗の坪庭に面した落ち着いた雰囲気漂うカフェスペースなのでした。

 

次ページに続きます。

壁には、さりげなくお品書きが…。同じ寺町通にある老舗「一保堂茶舗」のお茶とミシュラン1つ星フレンチ「motoi」の特製スイーツが味わえるのだそう。さっそくスツールに座り、改めてお品書きを…。

お品書きの最初にある「聞香メニュー」が気になります。「聞香は、なかなか体験する機会がないとおっしゃる方も多く、ぜひその楽しさ味わっていただければ…」とお店の方。香木の伽羅や沈香を楽しむ優雅な「聞香」が体験できるここならではのメニューで、一流のお香とお茶とお菓子という組み合わせは、さすが「鳩居堂」ならではのおもてなし。なるほど「聞香」を楽しむ場所なので、店の名が「聞香処」というのだと、やっとここで納得した次第です。

お店の方が用意してくださる電子香炉から漂う芳しいお香を聞き、心を鎮めます。初めてでもお店の方がやり方を教えて下さるので、大丈夫。それから大徳寺納豆とショコラという斬新な出会いが美味しさを誘うマカロンを味わいつつ、風味豊かな煎茶が喉を潤す、なんとも贅沢な大人のひとときを過ごします。京都に暮らしても、こんな体験は初めて…。

お香の薫りを聞く、「聞香」は雅な嗜み。それが気軽に体験できるのは、京都を訪れる人にとって思い出深い時間になるのでは?しかも美味しいお菓子とお茶が一緒とは、嬉しいこと。

 

御池通から丸太町通まで並木と舗道が続く寺町通は、アンティークショップや美術商、茶道具店をはじめ、老舗の紙屋、洋菓子店、漆器店などが並ぶ大人がときめく通り。「聞香処」の登場で、またひとつ寺町通を訪れる楽しみが増えました。春に京都を訪れる友人をぜひ案内したい場所です。

 

 

聞香処

京都市中京区寺町通二条下ル妙満寺前町464

075‐231-0510

営業時間 11:00~17:00 (カフェスペースはLO16:00)

定休日/水曜・日曜・祝日

 

http://www.kyukyodo.co.jp/index.html

 

 

小原誉子ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」

http://blog.goo.ne.jp/mimoron/


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